ローブ姿の少女
ローブ姿の少女
わたくしの不徳で、
大切なものを奪われてしまいました……。
ローブ姿の少女
リリラ
リリラは一人になりたいのじゃ!
あっちへ行け!
リリラ
リリラ
リリラ
わら……わたくしは子供ではない!
じいのところくらいなら、自分で戻れるわ!
リリラ
私は……責任をとらねばならんのじゃ……。
リリラ
じいと約束しよう。
……それでよいじゃろう?
ウルダハ第十七代国王、
ナナモ・ウル・ナモである。
今宵の晩餐には、ウルダハのため、わらわのために、
奮闘した冒険者を呼んでおる。
この英雄に、拍手を!
では、皆の者。
この晩餐会を楽しむがよいぞ。
不思議な感じのする冒険者であった。
あの者の行く末が楽しみじゃな、ラウバーン。
それは、どこの国も同じじゃ。
誰もそれを責めることはできぬ。
皆、戦いに疲れておるのじゃ。
消沈した民を導くには、きれい事の言葉も必要……。
政(まつりごと)とは、かようなものじゃろう?
ガイウスなる者が、それを責めようとも、
わらわはラウバーン、そちを責めん。
力なきは、わらわも同じじゃ。
元より、エオルゼアと帝国は敵じゃ。
ただ、復興に明け暮れる日々の中で、
それを忘れていただけに過ぎぬ。
あは、あはははは!
面白い、面白いぞ、カヌ・エ!
お主らに、エオルゼアに足らなかったものじゃ!
ラウバーン!
ウルダハも負けてはおれぬぞ!
わらわたちで守ってみせようぞ!
もう心配はいらぬぞ。
軍略は我らに任せよ。
砂の家に控え、号令を待つがよいぞ。
抗議に集まっていた非武装の難民に、矢を射たのじゃ……。
これに激昂した難民たちは暴徒と化した。
……この事件が、暴動の発端となったのじゃ。
「フロンティア計画」は、いわば、
ウルダハが領土拡大を宣言したことと同じぞ!
ウルダハでの暮らしを諦めさせるための仕掛け……。
ドマの民に理解の立場を示していたのも、
難民からの支持を得るための、見せかけだったに違いない。
まさに化石のごとく沈黙しておる。
……だが、先のアルテマウェポンの件もあろう。
古の蛮神「バハムート」を討つという力。
そのような強大な力を秘めた古代兵器を、
もしも、手に入れることができたなら……。
砂蠍衆をまとめることもできぬような男に、
エオルゼアを牛耳れるものか。
……どうせ、今のウルダハに機密は無きに等しい。
アルフィノの動き、あれをどう思う。
……どこの国もウルダハと同じか。
ラウバーン。
わらわは、あの組織をあまり良く思っておらんのじゃ。
あれには、各国のグランドカンパニーの精鋭たちも参加し、
武力に特化した組織となっておろう。
「暁」の管理下とはいえ、危険ではなかろうか。
それにな、あの組織の設立に、
砂蠍衆から資金提供があったことが気がかりなのじゃ。
いつ、やつらの私兵となるやもしれん。
しかし、人は移ろいゆくもの……。
その気はなくとも、時の流れは人の意志すら動かすのじゃ。
荒野に舞う砂塵のようにな……。
捕まえることもできぬのか!
何が国家か! 何が王家か!
わらわは、なぜこうも無力なのじゃ……!
ご苦労だった。
テレジ・アデレジ派が台頭している。
問題解決に臨む王党派とは裏腹に、
己の利益を優先する砂蠍衆ら共和派。
その共和派ですら分裂し、内紛となっているのが現状じゃ。
こんなことで、いがみ合っている場合ではないというのに。
彼らにかぎらず、今のウルダハを作った、
ほかの商人らの扇情を逆撫でることになる。
そうなれば、ウルダハを取り巻く状況は、さらに悪化しよう。
商人にかぎらず、市民も、難民も……
ウルダハの民すべてが幸福を求めている。
政を担うものとして、それに応えなければならない以上、
今は、迂闊に敵を増やすときではないのじゃ。
ロロリトにしてみれば、
現状をみていない「夢物語」なのかもしれんがな。
その民の意思が、一部の富者にゆがめられてはならぬこと。
共和派の連中も、商人たちの自治を大義名分として謳っているが、
結局は、奴らの思うがままに国を動かしたいだけに過ぎぬ。
これは、真の共和に非ず……。
民のための政は、民のために行わなければならない。
……つまり、解体すべきは砂蠍衆ではないのだ。
わらわが公言することで、ウルダハは大きく揺れよう。
後の混乱をラウバーンと協力し、平定してもらいたい。
ウル王朝、最後の王として、
恥を忍んで貴公らに頼みがある。
このウルダハを、ウルダハの宝を……
どうか、守ってやってほしい。
然るべき折にウル王朝の幕を下ろし、
共和制に移行するつもりじゃ。
これによって、王党派も共和派も解散する。
ウルダハは、王のものでも、豪商のものでもなく、
民のものとして生まれ変わる。
お前の忠義を裏切る形になる。
だが、今、わらわにできることはこれしかないのじゃ。
ゆるしてくれ……。
この「戦勝祝賀会」で、わたくしはこの国を……
ウル王朝を捨てることになります。
歴史ある王家を、不首尾な結果に終わらせてしまう不徳……
どうか、どうか……お許しください……。
そなたに、伝えておきたいことがあってな。
……わらわは、ウルダハ王朝に幕を下ろすつもりじゃ。
知ってのとおり、今のウルダハは混沌の渦中にある。
政が正常に機能せず、国の宝である民が、
一番の被害を受けているような有り様じゃ……。
わらわは、この混乱を消し去るために、
この「戦勝祝賀会」の場で、王朝の終焉を宣言する。
これによってウルダハは、王のものでも、富者のものでもない、
民のものとして生まれ変わる。
新時代のウルダハの幕開けとなるのじゃ。
……だが、国は大きく揺れる。
ラウバーンひとりの力では、行き詰まる時もこよう。
……どうか、ラウバーンを支えてやってほしい。
これは、ほかの誰でもない……
いくつもの戦いをくぐり抜けてきた、
真の英雄であるそなたにしか、頼めないことなのじゃ。
……よかった、本当によかった。
<ウルダハ以外開始>
これで気がかりがなくなった。
……これからもよろしく頼むぞ、英雄殿。
<ウルダハ開始>
ササガン大王樹のもとで、そなたに会った日のことが、
まるで昨日のことのようじゃな。
……これからもよろしく頼むぞ、英雄殿。