えおろーぐ

聞くところでは、貴殿はかなりの腕前だそうではないか。
その噂が偽りでないことを、期待させてもらうとしよう。

おお……！
貴殿がいるということは、若様も……！？

ヒエン様が戻られる日が来ようとは……！
今度こそ、帝国からドマを取り戻してみせようぞ！

最初の敗戦から、反乱を起こすまでには、長い年月を要した。
こうして約1年で再戦にこぎつけられたのは、
貴殿らの力添えがあったからにほかならぬ。

貴殿に手伝ってもらいたいことがあるのだが、
話を聞いてもらえぬだろうか？
私は、しがない職人なのだが、
人手が足りないせいで、なんでも屋みたいなこともしていてな。
とある物資の調達を任されたのだが、少し厄介な仕事なのだ……。
ここから北に、「七彩溝」と呼ばれる不思議な池がある。
辺りに、良質な結晶の鉱脈が露出しているのだが、
属性の力が妙な作用をして、水を虹のような七色に変えているという。
とにかく霊気の影響が強い場所で、あのナマズオたちが、
酔っ払ったように凶暴化してしまう、見た目に反して危険な所なのだ。
そこで、貴殿の出番である。
緑色の泉から「七彩溝の泉水」と、
橙色の泉の脇から「七彩溝の結晶」を、手に入れてほしいのだ。
報酬は出すから、よろしく頼む。

頼んでいた七彩溝の結晶と、
七彩溝の泉水は、手に入っただろうか？

うむ……たしかに、七彩溝の泉水と七彩溝の結晶だ。
貴殿に任せて、大正解だったようだな！
風景を楽しむ暇があったかわからぬが、
七彩溝はどうであった？
幻想的な場所だっただろう。
地元に古くから伝わる話に、こんなものがある。
あるとき、ドマの若殿に恋をした天女が、
愛しい人を天上に誘うために、空に虹の橋をかけたのだ。
ところが天上に住まう神々は、
下界に棲まう者を無断で招くことを許さず、
若殿が登り切る前に、虹の橋を粉々に壊してしまった。
川が七色になったのは、砕けた虹の橋の破片が、
水に混じったせいだと言われている。
……まあ、おとぎ話のようなものだな。
ともかく大事なのは、そこで取れる資源の方だ。
七彩溝の結晶は、資源として役立つし、
七彩溝の泉水には、傷を癒やす効果がある。
いつか、心からあの景色を楽しめるように、
私たちは戦い続けよう……！
此度の貴殿の協力に、心から感謝する！

やっとドマを取り戻したというのに。
また、あの女のことで頭を悩ませねばならんとは……。

おお……！
貴殿とヒエン様のおかげで、同胞が帰ってきたぞ……！
ドマの民として心から感謝する！