えおろーぐ

新入りはいつだって歓迎だ。
ヒトが動けば、物流が生まれる……
巡り巡って、クリスタリウムの発展に繋がるからな……。

ずいぶんと、物珍しそうだな……。
ということは、新入りか……。

ここは「ムジカ・ユニバーサリス」……
大仰な名前がついているが、つまりは市場だ。
俺は、ここの市場長をやっている……。

お前のような、[第一世界種族]の装備も取り扱っているから、
好きに利用するといい……。

お前は……もしや……ドワーフ族か……？
山から下りてくるなんて珍しいことだが……ふむ……
お前に合う装備も、取り扱いがあったはずだ。

►[第一世界種族]……？
うん……？
俺は何かおかしいことを言ったか……？

►[種族]の間違いでは？
うん……？
聞きなれない響きだな……どこかの方言か……？

そこの、手前で話しているふたりのうち、
背の低い方が「ヒュム族」……。
相手の、背が高い方が「エルフ族」……。

向こうにいる屈強そうなのが、
「ガルジェント族」で……
角が生えているのは、「ドラン族」だ。

そして、長い尻尾とウロコの肌を持つのが、
牧畜を得意とする「ズン族」なのだが……。

……どうやら、お前はそう呼んでいないようだな。
種族の呼び方が違うなんて、方言にしても珍しいが……
いったいどこの出だ……？

……どうやら、お前はそう呼んでいないようだな。
ドワーフ族の特別なしきたりなのか？
それとも、どこか方言のある地域に移住していたとか……？

ああ……なるほど……。
水晶公の同郷だったか……。
ならば納得だ。
ここ数年、同じように名乗る者がここに来ることがあったが、
皆とても賢い反面、妙なところで非常識でな……。
ならばお前も、そういうものなのだろう。
……これからも、わからないことがあったら聞いてくれ。

さっき紹介したほかに、
俊敏なミステル族や、俺のようなロンゾ族、
衛兵団のライナと同じヴィース族なんかも見かけるだろう。
クリスタリウムには、種族を問わず、
難民が集まってきているからな……。
さすがに、お前のようなドワーフ族は滅多に見かけないが……。

皆の喜びが、ここで見ているだけでも伝わってくる。
俺にとっては、同胞の笑顔が一番の喜びだ。

うん、どうした……？
お前も、急いでランプを買いに来たのか？

なるほど、ライナからの伝言だな。
わかった、必ずそのとおりにしておこう……。

……しかし、ライナとともにいたということは、
お前もホルミンスターでの戦いに赴いたんだな。
それほどの猛者なら……ふむ……
この奥にある酒場「彷徨う階段亭」に、
一度顔を出してみるといいだろう……。
店主の「グリナード」が、
うまい話を紹介してくれるかもしれないぞ……。

「彷徨う階段亭」は、そこの階段の上だ……。
ずいぶんと賑やかな声が聞こえるから、混んでいるかもな……。

ユールモアは、いまだに世界の中心だ。
対立すれば、生きにくくなることは間違いない……。
市を預かる身から言わせてもらえば、
流通の面で、大きな制約を抱えることになる……。
だが……。

ユールモア軍の駐屯か……
ここで、できるかぎりの準備をしていくといい。
万全の備えがあれば、不測の事態にも対応できよう……。

ユールモアとの対立による影響は大きいが……
悩むのは俺たちの仕事だ。
お前はいつも通り、好きに売買していくといい。

お前……目を覚ましたのか……！

そうか……本当によかった……。
お前を搬送してきた仲間たちがボロボロだったから、
見てられなくて、運ぶ手伝いを申し出たんだ……。
だが、お前の体はあまりに冷たく、ぐったりしていて……
そのまま……最悪の結末になるんじゃないかと、不安だった。

聞けば、水晶公も、
戦いの折に「怪しい男」に拐われたとか……。
いったい、どうしてこんなことに……。

……いや、嘆いていても解決しない。
こういうときこそ立ち上がるのが、クリスタリウムの民だ。
幸い、ユールモアとの流通が復活している……。
いつでも「この事態を引き起こしている元凶」と戦えるよう、
街の準備を整えておこう……。

そういえば、スパジャイリクス医療館の「シェッサミール」も、
お前のことを、ひどく案じていたぞ……。

お前が目覚めて、心から安心した……。
だが、我らが公のことは……。

俺は、最初に「水晶公の同郷」を名乗られたときから、
そうじゃないかと思っていた……。
公は、ずっと誰かを待っていたから……
それが、ついに来たのだなと……。

戦いに赴く準備は、万全か……？
些細なことでも、気がかりは解消しておくといい……。
公のことを、よろしく頼む……。

「闇の戦士」が買った物を教えてくれと、
店員に聞くヤツが増えているんだ……。
憧れのヒトと、同じ物が欲しいんだと。
もちろん、俺たちが勝手に教えることはない。
「闇の戦士」は、俺たちの大切な仲間であり、
取引相手のひとりでもあるんだからな。