えおろーぐ

おまえさん、陸に住んでるヒトだろぉ～。
もう、水ん中での動き方には、慣れたかぁ～。
練習がてら、ひとつシマエイの散歩を手伝ってみんかぁ～？
こいつは、泳ぐのがなにより好きでなぁ～。
小魚も一緒に食べてくるんで、一銛二魚ってなもんだぁ～。
順路を地図に書いたから、里をぐるりと一周してくれぇ～。
そうすりゃ満足するんで、頼んだぞぉ～。

シマエイも戻ってきてるぞぉ～。
おまえさんさえよければ、もっぺん頼めるかぁ～。

お～、お疲れさん～。
シマエイも、いつも以上に満足してるようだぁ～。
あとで、あいつが飲み込んだものを吐き出させておくぞぉ～。
あいつは、光るもんにも目がなくてなぁ～。
沈んだ船から落ちた硬貨なんかも、吸い込むことがあってねぇ～。
散歩もできて、腹もいっぱいになって、まさに一銛三魚よぉ～。
ありがたいから、礼もはずんでおくなぁ～。
シマエイも、おまえさんを気に入ったようだから、
また頼むぞぉ～。

陸のヒト、こないだはありがとなぁ～。
あのシマエイ、おまえさんのことが忘れられんのか、
時々寂しげに、陸のほうを見とるぞぉ～。
だから、また相手してやってくれるかぁ～？
頼みたいこともあるもんでなぁ～。
うちらのシマエイは、「水泡」を吹くよう調教してあってなぁ～。
そいつをつかって、海の掃除をしてほしいんだぁ～。
藻や汚れがついた海藻や珊瑚は、お日様の光をうけられなくて、
弱ってしまうもんでなぁ～。
シマエイの散歩もかねて、弱った海藻や珊瑚を探して、
「水泡」を吹きつけて、キレイにしてやってくれるかぁ～。

感謝、感謝だなぁ～。
たくさんの海藻や珊瑚を助けてくれたようで、嬉しいぞぉ～。
……そんな顔しなさんなぁ～。
砦のみんなもわかってないんだが、
これも大事な仕事なんだぞぉ～。
ドマに帝国の奴らが来てから、海は汚くなる一方でなぁ～。
海藻や珊瑚が弱りゃ、小魚は住処を失い、
小魚がいなけりゃ、それを食う大きな魚もいなくなるんだぁ～。
巡り巡って、海も死んじまうのさぁ～。
だから、シマエイは海の医者って呼び方もあるんだぁ～。
呼んでるのは、オレぐらいなもんだけどもぉ～。
陸のヒト、ありがとなぁ～。
散歩だけでも、また手伝ってくれよぉ～。

おやま～、またおまえさんかぁ～。
おまえさんも、えらくシマエイが気に入ったんだなぁ～。
そいじゃ、また頼もうかぁ～。
掃除んときに使った水泡だがな、別な使い道があるんだぁ～。
水泡に含まれる粘液には、シマエイが縄張りを主張するときの、
特別な匂いが含まれているんだよぉ～。
特に産卵期のミズヘビは、あの匂いが大嫌いでなぁ～。
その習性を利用して、入り江に現れたミズヘビたちに、
「水泡」をぶつけて、追い払ってほしいんだぁ～。
それが終わったら、もうミズヘビどもが寄ってこれないように、
辺りに「水泡」を撒いておいてくれぇ～。

入り江のミズヘビどもに「水泡」を当てて、追い払ってくれぇ～。
終わったら、その辺りに「水泡」を撒いておいてくれよなぁ～。

これで入り江をミズヘビたちに占領されずに済みそうだぁ～。
そういや、おまえさんも水泡ぶつけられなかったかぁ～？
シマエイも、繁殖期まっただ中でなぁ～。
おまえさんのこと気に入ってるから、
ぶつけられたんじゃないかと思ったぞぉ～。
あれはな、異性を引きつけるためにも使われるんだぁ～。
オレでもきつい臭いだから、助かったなぁ～。
ありがとうよぉ～。
またシマエイに会いに来てやってくれなぁ～。