えおろーぐ

あらあら……うふふ……。
どこか具合でも悪いのかしらぁ……？

うふふ……夜の闇に浮かれて、ケガをしちゃダメよ？
さっきも、言うことを聞かずに擦りむいた悪い子に、
とーっても刺激的なお薬を……塗り込んであげたのよぉ……。

あらあら……うふふ……
貴方も衛兵団の子でしょう……？
ケガをしているようには、見えないものねぇ……。

それじゃあ、はい……
ドリームパウダーの効き目を抑える抗体薬、
通称「王子の口づけ」をあげましょうねぇ……。

その薬、とってもよく効くんだけれど、
代わりに……うふふ……とっても苦くって……
こんな名前なのに……ねぇ？
あまりの苦さに、飲みきらない悪い子もいるから……
今この場で、私の前で、飲んでいただけるかしら……？

さあ、「王子の口づけ」を飲んで見せて……？

うふふふ……よく飲めましたぁ……。
これでもう眠ってしまう心配はないけれど、
怪我にはくれぐれも注意してね、衛兵さん……？

ちゃんと飲めて、いい子……いい子……。
これで、ドリームパウダー対策はバッチリ……
次の準備に進んで平気よ。

うふふ……。
また、苦ぁいお薬を飲みたいのかしらぁ……？

おかえりなさぁい……待っていたわ……。
ミンフィリアちゃんから、
貴方と手分けしたと聞いたけれど……？

たしかに、受け取ったわ……。
これで、たりなかった薬を、生成できる……。

負傷者は、どんどん運ばれてきますからね……。
今回の戦いが、どれほど酷かったのか、よくわかるわ……。
だけど、大丈夫……。
どんな……えぐい味の……薬を使ってでも、
私たち、医療館のみんなで、負傷者を救ってみせるからぁ……。

ああ……ああ……！
もう歩けるようになったのねぇ……！

貴方は面会謝絶で、医療館の者でも会ってはいけないと、
固く言いつけられていたの……。
リーンちゃんたちからは、
「罪喰い化に似た症状」だと聞いたわ……。
だとしたら、確かに私たちでも手の施しようがないけれど……。

みんなは、何か有効な手立てがないか探すと言って、
各地を飛び回り続けているみたい……。
見かけるたびに憔悴していて、とても心配よ……。

あなたが目覚めたって連絡はしておくから、
会ったら、一緒にきちんと休んでちょうだいね……。

……ああ、そうだわ。
博物陳列館の「モーレン」も、ずっと根を詰めているの……。
よければ、会っていってあげて……。

元気の出るお薬を差し上げたいところだけれど……
影響がわからないうちは、危険だものねぇ……。
悔しいことだけれど……
いつだって、最後は祈るしかないの……。
あなたが、みんなが、公が……どうか健やかでありますよう。

あら……元気の出るお薬、飲んでいくかしらぁ……？
助けた公に飲ませるために、持って行ってくれてもいいのよ？
ちょっと……香りが凄まじいけれど……。

あらあら……元気な顔を見せてくれて嬉しいわぁ……。
具合が悪くなったら、すぐにいらっしゃいねぇ……。
この世の味とは思えない、お薬を飲ませてあげるわぁ……うふふ。