えおろーぐ

おおう！
うちの店から、食い物を盗んだってのは
わかってるんだ！

うるせぇ！
お前たち難民が、肉を買えるほどの金を
持ってるわけがないだろう！
さっさと盗んだモールの肉を出しな！
それとも？
別の稼ぎ方で返してもらってもいいんだぜ？
……なぁ？

なんだぁ？
てめぇ、この女の仲間か！？

構わねぇ。
お前ら、やっちまえ！

こ、こら待て！
こんのやろう、使えない奴らめ！

なんだ！
や、やろうってのか！？
……なんだと？
この女が、ちゃんと買ってるところを見ただと！？

だ、だれだ！？

チッ！
覚えとけよ！

げっ……てめぇはウルダハで会ったクソ冒険者……！
お、俺の地元にまで、何しに来やがった！

ちっ……イセムバードの紹介かよ。
えーと、貧民の行方を調べてるから教えてやれ……だと？
フン、ここらの貧民は警戒心が強くてね、
人が近づいたらビビって逃げちまうくらいだぜ？
ま、俺みたいな奴が昔、騙して重労働させまくったからな。
今は誘拐事件もあるし、より一層警戒心が悪化してるぜ。
嘘だと思うなら、てめぇで貧民に話しかけてみろよ。

嘘だと思うなら、てめぇで貧民に話しかけてみればいい。

どうだ、貧民たちは警戒心が強い事がわかっただろ？
ケッ、あいつらが心開くのは、神様くらいだぜ。
だいたい貧民の誘拐事件つったって、本当なのかねぇ。
案外、別の集落に移動して、よろしくやってんじゃねえの？

貧しき者よ、私はナル・ザル教団の司祭。
もしや、あなたは職を探しているのではないですか？

そうです、怯えることはありません。
私は聖アダマ・ランダマ教会の司祭です……。
これをご覧なさい。
ナル神がもたらす現世利益について書かれています。
私たちに任せておけば、必ずや職にありつけましょう。

な……なんで俺のことを！？
お前ら貧民のふりをして、俺をはめやがったな……。
お、俺だって好きでこんなことをやってる訳じゃねぇ！
ゴールドバザーを守るためだったんだ！

ああ……。
……俺は、ゴールドバザーに住む商人なんだよ。
実は、そのゴールドバザーが、
少し前からアマルジャ族に襲われていてな……。
みんなを守るために、
アマルジャ族に取引を持ちかけたんだ。
するとヤツらは、襲撃しない協定を結ぶ代わりにと、
条件を出してきやがったのさ。

ヤツらの要求は、ナナワ銀山のクリスタルの運搬予定を、
流せというものだった……。
だから、銀山労働者を買収して、運搬予定を入手したんだ。
そしたら、次の要求は人を集めろと……。
困った俺は、司祭に扮して貧民たちを集め、
アマルジャ族に引き渡していたのさ。

……が……よかったんだ……。

報酬がよかったんだよ！
かなりのギルだ！
いくらモールの肉を売っても、こんなには儲からねぇ！

恨むんなら、自分かザル神にしてくれよな。
あばよ！
って、うわあああ！
……お、お前は、前に俺に絡んできた！？
通りすがりの冒険者じゃなかったってわけかよ！？

ち、違う！
それは俺じゃねぇ！
本当だ！

くっそぉぉぉ……。

うわぁぁぁ！

くくく……！
ひゃっひゃっひゃ！

俺たちがこれまで、
どうやって不滅隊の警備を抜けて取引してきたのか、
これでわかったか？

バカな奴らだぜ！
ひゃっひゃっひゃ！

さて、そろそろ……。

ひゃっひゃっひゃ！
頼みますよ、アマルジャ族の皆さん！

はっはっは！　いつまで耐えられるかなぁ？

ひゃっひゃっひゃ！
こいつは、いい見世物だぜ！

連れていくぞ。

いててて……。

た、助けてくれぇ！