えおろーぐ

「ミラージュトラスト」総裁のテレジ・アデレジという。
遊技場「プラチナミラージュ」のオーナー、
と言えば、おわかりかな？
富とは、良き人材から生まれるもの……。
それには出自は関係ない、たとえ難民であろうともな。

良い提案ではないか。
第七霊災からこっち、復興やら開拓やらで、
人手が不足しているのは確かなのだ。

なぜです、ロロリト殿。

しかし、人は宝だぞ。
将来的に、このウルダハを強くする礎となるやもしれん。
労働者としての受け入れを再度検討してみるのは……。

クッ、ムム……。

……しかしロロリトの奴め、腹立たしい。
リトルアラミゴの現状は、
陸路による東方貿易を放棄した奴の責任もあるではないか。
はるか遠方から必死の思いで来たのだ。
なんとかしてやりたいのだが……。

流入する難民を受け入れるのは時流だ。
問題は、いかにしてウルダハと難民の双方に、
利をもたらすか、それが政治なのだよ。

つまり、ロロリトのような輩の影響も薄い。
我々としても、援助しやすいというのものだよ。

ラウバーン局長、それについては私に案がある。
ロロリトの息がかかっていない、隊商互助会の連中に、
チョコボ・キャリッジを回させよう。
費用は私がもたせてもらうよ。
なに、「厄介者を僻地に送った」とでも言っておけば、
ロロリトの奴も文句は言うまい。

ウルダハの政治を担うものとして、
貴公らに何もしてやることができなかったからな。
せめて、「足」くらいは用意させてもらいたい。
それに、働き口で困ったときには、私を訪ねてくるといい。
いくらかなら、ウルダハで職を用意しよう。

……戦争だよ。

……話は聞いている。
まったく、面倒なことをしてくれた。
……いや、そちらへの影響はなかろう。
それよりも、問題なのはラウバーンだ。
これを機に、何を仕出かすかわからん。
銅刃団に不滅隊を張らせるよう指示しておけ。
……ああ、ナナモ陛下のほうは、こちらで何とかする。
東アルデナード商会の貿易路をひとつ潰せ。
……それでロロリトは、しばらく動けんはずだ。
ナナモ陛下……か。
……あの方には、最後まで女王でいてもらわねば困るからな。

ナ、ナナモ陛下！？

こ、これは……亡くなられている……。
さては、杯に毒を盛ったか！
冒険者……貴様が、ナナモ陛下を！？

この部屋には、ナナモ陛下と貴様しかおらん！
言い逃れはできんぞ！
者共、此奴を拘束しろ！
女王陛下の暗殺犯だ！

イシュガルドの特使殿。
たった今、イシュガルドの教皇庁より連絡がありました。
何でも、ドラゴン族が再び皇都を襲撃したため、帰国せよと……。
急を要すとのことで、騎士の方々が迎えに参ったようです。

何を言うか、ラウバーン！
……不滅隊こそ、貴様の私兵ではないか！
ナナモ陛下が暗殺され、国の存続が危ぶまれる事態ぞ！
かような状況から国を守るべきはずの不滅隊の兵力を、
容易にカルテノーやクルザスに回した貴様の責任は、
どう取るつもりだ？
ましてや、腹心に帝国の間諜を飼っていたとは……
局長とは名ばかりの、愚将ではないか！

さよう……！
そこにいる「暁の血盟」に与する冒険者が、その首謀者だ！

貴様らには、暗殺計画への関与の疑いがかけられている！
……連れてこい！

この冒険者が所持していた小瓶から、
ナナモ陛下を殺害したものと同じ毒が検出された。

おやおや、はめられたのは我々の方ですよ。
まさか、我がウルダハの愛すべき女王陛下に取り入り、
イシュガルドと和平を結ぼうというこの場で、
陛下を暗殺したのですからな！

黙れ小娘！
貴様ら「暁の血盟」が、異能を持つ者を集め、
囲っていることはわかっているのだぞ！
その能力を使い、ナナモ陛下をはじめ、
各国の盟主に取り入ったのであろう！
それに、アイメリク卿とは、特使として接する以上に、
ずいぶん親しくしていたようではないか……。
……さては、先の防衛戦。
ドラゴン族の侵攻からの防衛を大義名分に、
裏でイシュガルドと結託して、我々の兵力を分散……。
そうして防衛力を削いだ上で、
イシュガルドにこの地を侵略するよう仕向けたのではないか！？

もはや、王党派に国を守る資格無し！
ウルダハの政は、我々砂蠍衆……共和派が行うしかあるまいな。
せいぜい、陛下の国葬の段取りでも考えておくがいい。
……まったく、貴様も陛下も手間を掛けさせる。

……何の話だ。

ふん、世迷いごとを。
……まぁ、あの小娘のために、
ずいぶんと苦労したのは確かだがな。
元々、傀儡の女王だったのだ。
ようやく操り糸が外れて、肩の荷が下りたと、
ザル神の御許で清々としているだろう。