えおろーぐ

あんた、外から来たって人だろ？
頼む、力を貸してくれよ！

友達のカルネスって奴が、
ひとりでゴーンの砦に行っちまったみたいなんだ……！
あそこは俺たちの生まれ故郷なんだが、
数年前に罪喰いに襲われて、廃墟しか残ってない。
今じゃ、獰猛な魔物の縄張りだから、
近寄らないようにって、マトーヤ様からも強く言われてた。
でもあいつ、いつも砦のことを気にしてて……。

頼む、ゴーンの砦の辺りで「カルネス」を捜すのを手伝ってくれ！
見つけたら、仲間の証になる合言葉「のばら」って、
声をかけてくれればいい、頼んだぞ！

やっぱりゴーンの砦に……！

危険だなんてわかってただろ？
どうしてひとりで、砦まで……！

カルネス……。
それじゃあ、ずっとひとりで砦に向かう機会を狙ってたのか？

おい、まだ毒が抜けきってないんだ。
あまり声を荒げないで、大人しくしてろって。

……なぁ、あんた。
こいつは無事見つかったが、もう少し付き合ってくれないか？
カルネスは勇気を出してここまで来たんだ。
「形見の剣」……見つけてやりたい。
こいつの家があった場所も、あの剣も、俺ならわかる。
あんたが獣を蹴散らして、見つける手助けは俺が……どうだ？

話が早いな。
それじゃ、善は急げだ。

カルネスの家は、砦の奥だ。
親父さんが亡くなったのも、その辺りだろう……。

これじゃあないな……柄の模様が違う。

これだ、間違いない！

これだ、間違いない！
よし、「カルネス」のところに戻ろう……！
さっそく、形見の剣を見せてやろうじゃないか！

見つけられて、何よりだぜ。

砦が襲われたとき、俺も一緒にいたんだ。
こいつの親父さんが、命がけで逃げ道を開いてくれた。
……親父さんの形見、残っててよかった。
カルネスだけじゃなく、俺も少し救われた気がするよ。

カルネスも、ひとりで歩ける程度には回復したみたいだ。
あんたには面倒かけたな。

お前……マトーヤ様考案の、あのヤバいやつ作ったのかよ……。

毒餌の匂いで、すっかり鼻が馬鹿になりそうだ。

長居すると、俺たちまでクラクラしそうだ……。
早いとこ「スリザーバウ」に戻ろうぜ。

ふぅ……やっと戻ってこれたぜ。
思えばこいつの姿が見えなくなったときは、俺も随分動転してたな。
ほとんど、あんたに泣きつくみたいにしてさ。

怪我が大したことなかったから良かったけどよ……
もう無茶するんじゃないぞ。
俺たち、せっかくあの襲撃を生き延びたんだから……。

俺も、見つけた剣を眺めてたら、
故郷と家族を命がけで守った、親父さんの横顔を思い出した。
俺にだって、協力させろよな？
お前だけじゃない、俺たちの故郷なんだからな！