勝手に飛び込んできて、失礼な奴メ……。
そいつは、嘘をついたんダ。
敏腕商人だというから招き入れてみたが、
叩けば叩くほど、ボロが出ル。
与えることもできないのに、与えてもらおうだなんて、
許しがたいゴミくずダ!
私は嘘の罰として、そこから飛んで出ていけと命じたんダ。
なのに、「それだけは許してください」なんて、
ぴーぴー泣きわめく……。
慈悲深き長としては、
別のことで誠意を見せてもらうしかないだろウ?
ンン……?
そして、生き物の体を構成するエーテルは、その餌になル……。
だからそいつには、肉を捧げろと言ったのサ!
自分で、自分の体から、削ぎ取って!
な~の~に~ぃ!
それすらも、最後までやりとげられないときタ!
まったくもって、面白くもありゃしなイィィ!!
この壊れた世界に、夢のある楽園を築くことが、
どれだけ難しいと思ウ?
たったひとつの、ゆるぎなき秩序ダ。
そして、それをもたらすことができるのは、
罪喰いを従えられる、私だけ……。
その言葉に従えない者は、処断すべき悪党なのダ!
どんな些細なことでもナ!
何のために雇われたんダ?
ならば、私のために、一枚描くがいい。
綺麗に描けたら、此度の無礼を許してやろウ。
引き続き、ユールモアに住まわせてやるゾ?
私が、絵を描けと言っているのだゾ?
この、私を、ぶべっ、侮蔑……。
人形にだってしてやるものカ!
苦しめて、辱めて、殺してやるウゥゥゥッ!!
私の前で、よくもそんな態度がとれるものダ。
お前の街は、「闇の戦士」とか呼ばれている連中の、
罪喰い討伐に加担しているそうじゃないカ。
……いったい何のつもりダ?
お前たちの見ている希望は、いっときの幻ダ!
仮に罪喰いを退けたとて、
この世界はもう、手の施しようがないほど壊れていル。
人が自由に生きようとするには、あまりに乏しイ。
そうなれば、人同士の争いがはじまるだろウ。
残り少ない人類は、今度こそ自滅すル!
新たなる王……いや、神となって!
人は私にのみ憧れ、私の足もとで夢を見ル。
私は秩序、私は平穏、私は人に残された唯一無二の幸福ダ!
そんな連中を導くには、多少の恐怖が必要なのサ。
私のもとだけが、生きていける場所だとナ。
罪喰いは、そのためのチカラ。
世界は私に彼らを与え、君臨せよと命じたのダ!
誰しも、求めるのは今、自分の幸福ダ。
100年、1000年先に築かれる楽園に、価値などあるものカ。
お前たちは、本当にバ~~~カだナァ!
我が軍は、光の残る各地に向けて出発しタ。
そして、それを狙う反逆者を、根絶やしにするためにナ!
どいつもこいつも、私をコケにしやがっテ……!
ヴァウスリーの声
ヴァウスリーの声
此度の襲撃こそ、お前たちの愚行に対する、天罰であル。
ヴァウスリーの声
私は、人と罪喰いの盟約を結び、楽園を築く者であル。
ヴァウスリーの声
それはなぜか……喰らうべき罪がないからダ。
ヴァウスリーの声
私の秩序に従わず、罪喰い狩りに加担するとは……。
ヴァウスリーの声
お前たちの行いは、秩序に仇なす、悪しき反逆であル!
私の人形ではない者が、この楽園に踏み込んでいル……!
また私を邪魔しにきた、混沌を引き連れて!
あいつらを、もう私に近づけるナァァァッ!
何を、ナニヲ、何を言っているのだネ。
私は秩序、私はルール、私だけが絶対の正義。
私は人を統べ、罪喰いを統べル……。
世界は、私に救われるために、こういう形にできていル。
私が、オ、おい、追い詰められる……?
私は愚かなヒトを導いてやる、誰より正しく利口な王ダ!
侵されていいわけがないィィィィッ!
創り直さなくては……私の楽園ヲ。
ヴァウスリーの声
ヴァウスリーの声
ヴァウスリーの声
ヴァウスリーの声
ヴァウスリーの声
ヴァウスリーの声
ヴァウスリーの声
ヴァウスリーの声
ヴァウスリーの声
お前たちは自滅を望んでいるようなものだと、なぜわからなイ。
その蛮行の果てに得られるのは、
生きるための、永劫終わりなき戦いのミ。
争いの種は取り除かれるのだゾ?
善も悪もない、生きる意味だの理由だのを探す必要もない、
不滅の楽園で幸せに暮らせるというのニ!
反逆者の分際で、偉そうに語るナァァッ!
どれほど身のほど知らずか、改めて教えてやろウ!
目覚めし我が真の力で、お前たちを屠り、
その亡骸をもって、愚民どもにも知らしめるのダ!
あまねく統べよと世界に望まれ、全能を授かりし者。
イノセンス
膝真好き 頭を垂れよ 私はすべての王にして 新しき神ゾ!
イノセンス
イノセンス
反逆者の罪を喰らい尽くセッ!
イノセンス
イノセンス
イノセンス
イノセンス
イノセンス
なぜ抗ウ! なぜ、屈しなイ!
イノセンス
イノセンス
イノセンス
イノセンス
イノセンス
イノセンス
イノセンス
イノセンス
イノセンス
イノセンス
どうして……私が、地に伏して……。
間違っているのは……お前たちなのに……。
イノセンス
お前が希望、お前が正しい、お前は新たな神になる……。
イノセンス
罪喰いと混ざって生まれてきたのだ……って。
イノセンス
私がいれば、罪喰いを恐れることがないと、喜んでいた!
それが……あぁ……なんで!
なんで、なんでなんだよ、お前たちもひれ伏せよ!
イノセンス