えおろーぐ

おや、旅の方にクロバナとは、
これまた奇妙な組み合わせだが……いったい何の用かな？
ほう、クロバナが雑草むしりを手伝ってくれると……。
そいつは、ありがたい。
ここらの水田では、油断していると、
あっという間に「ナマイ」が茂ってしまうからね。
稲を傷つけないように、足下に注意しながら、
ナマイだけを、引き抜いていってくれよ。
……そうだ！
せっかくだから、旅の方もナマイ村に来た記念にどうです？
地味な作業も、仲間とやると楽しいものですよ！
それじゃあ、さっそくやってみるとしよう！
この坂を登っていった上にある水田で、
青々としたナマイを抜いてくださいね！

どうです？
雑草むしりは、終わりましたか？

どれどれ……おぉ、旅の方もいい感じですね！
上の方だけ千切っちゃうんじゃなくて、
ちゃんと根っこから抜けていて、上出来ですよ！

違う臭いがする、だって！？
そんなことはないはずだよ、手入れだってこまめにしてるし！

せっかく作業の仕方とかを教えてあげたのに、
我が子、同然の田んぼを、よりによって臭いだなんて！
さては、地味な仕事を押しつけた腹いせだね？
作業が気にくわないからといって、侮辱するなんて……
雑草むしりが終わったのなら、もう帰ってくれ！

まったく、違う臭いがするだなんて……！
そんなことはないはずだよ、手入れだってこまめにしてるし！

違う臭いがするって言われて、
つい、カッとなってしまったんだ……。
怒ったりして、大人気なかったと思ってるよ。

ま、魔物だって！？

まさか、貯水池に魔物がいただなんて……。
クロバナ……理由も調べず、怒ってしまいすまない。
どうやら、君に対する陰口を聞いて、偏見を持っていたようだ。
異変にいち早く気付いてくれたというのにね……。
そして、魔物を退治してくれてありがとう。

うん、クロバナの言うとおりだと思う。
とはいえ、ヒトの鼻では、かぎ分けられないと思う。

……クロバナにお願いがあるんだけれど、
もしよかったら、倉の確認だけではなく、
定期的に田の見回り……いや、嗅ぎ回りを頼めるかな？
この先、稲の病の臭いなんかも覚えてもらえば、
誰よりも早く、田に迫る危機を見抜けると思うんだ。
そうすれば、田が全滅するような事態も、未然に防げるはずだし。

すまない！
交渉は後でさせてもらうとして、
ひとまずこいつらを貸してくれないか！？

おや、旅の方じゃないか！
こいつを見てくれよ！

こいつら全部、クロバナのやつが倒しちまったんだぜ！？
まるで、敵がどこにいるか全部わかってるみてぇに、
次々と弾を命中させていってよ！
ありゃあ凄かったぜ！

これなら魔物退治の用心棒としても働けるじゃねぇか！？
お前にも、兄貴のように戦う才能があったんだな！

クロバナのやつにも、兄貴のように戦う才能があったんだな！
やっぱり兄弟は似るもんなんだよ！