しかし、念のため周辺の警戒を頼む。
このまま街に連れて行きたいのだが……いいだろうか?
いろいろと質問はあるだろうが、人前では答えにくくてね。
何よりもまず、召喚に応じてくれたことに、心から感謝しよう。
本来なら私の部屋に喚び出すはずが、
座標がずれてしまって、すまなかった……。
それでも、正しく渡って来られたようで何よりだ。
13ある鏡像世界のひとつ「第一世界」。
……住民にその認識があるかどうかは別としてね。
そして私は、水晶公……そう呼ばれている。
この先にある、クリスタリウムという街の管理者にして、
あなた方を召喚した者でもある。
ああ……。
だが、事態はいささか複雑だ。
順を追って、説明させてほしい。
►お前が喚んだ
その点については、本当に申し訳がない……。
ただ、こちらにも差し引きならない事情があったのだ。
どうか、順を追って説明させて欲しい。
光によって滅びようとしている世界だ。
「光の氾濫」という大災害が発生……。
世界は、9割以上の土地を失った。
わずかに生き残った人類も、
「光の氾濫」が造りだした化け物によって、
絶滅の危機にさらされ続けている……。
その化け物こそが「罪喰い」……
あなたが先ほど見たのも、そのうちの1体だ。
世界と世界を繋ぐ術を習得し、最強の英雄を召喚したのだ。
そしてそれは、あなた方の世界……
原初世界を救うことにも繋がるのだが……
話の続きは、クリスタリウムでしよう。
あなたの来訪を、心から歓迎しよう。
あなたにはまず、我々の実情を知ってもらいたい。
いくつか街の主要な施設を紹介するので、
そこの顔役たちと話し、「この世界についての話題」を、
集めてきてはくれないか?
あなたならご存知だろう、エーテライトがある。
恐らくだが、正しい形で召喚されたあなたならば、
己の通ってきた道を辿り、
原初世界の地脈とも繋がれるかもしれない。
顔役たちを訪ねる前に、一度試してみるといいだろう。
この街の職人たちが集う「ミーン工芸館」がある。
顔役は「カットリス」という女性だ。
階段を上らず、左側の通路を進むと、
つきあたりが「博物陳列館」……巨大な書庫だ。
顔役は「モーレン」という青年さ。
流通を取りしきるのは、顔役の「ブラギ」だな。
行き方は、概ね伝わっただろうか?
さすがだ。
拡張を重ねている街だから、どうにも構造が複雑なのだが……
あなたならば、心配ないだろう。
►複雑すぎる
すまない、拡張を重ねている街だから、
どうにも構造が複雑でね……。
それでも、実際に歩いてみれば慣れるはずだ。
この世界に生きる民は、普通、別世界の存在を知らない。
あなたの素性は、彼らには理解しがたいものだろう。
ゆえに、身元を問われた際には、
水晶公の同郷人だと答えるといい。
この街において、それは詮索無用を意味する言葉になる。
街中央にある大きな広場で落ち合おう。
……また後程。
その後、3つの施設を回ってきてほしい。
エーテライト付近の階段を上って、北側に出ると、
「ミーン工芸館」がある。
階段を上らずに、北側の通路を進むと「博物陳列館」だ。
エーテライト・プラザの南側の出口は、
街の市場「ムジカ・ユニバーサリス」に続いている。
回る順番は、もちろんあなたの自由だよ。
皆の話は聞けただろうか……?
こちら側の状況を把握してもらえて、本当にありがたい……。
ちなみに、皆はクリスタルタワーがどこから来たか知らないが、
これはもちろん、そちらの……原初世界から喚んだものだ。
あなた方の召喚に先駆けた、最初の試みだったから、
どこの時代から喚んでしまったのかさえ、わからないがね……。
この塔が来たことで、運命が大きく動き出したのだ。
次こそは、あなたの仲間についての話をすべきだろう。
まずは、場所の移動を。
私の執務室は、クリスタルタワーの内部にある。
「衛兵団の守衛」に声をかけて、中に入るとしよう。
ああ、もちろんだ。
呼び寄せた当初から、塔の扉は自由に開閉できている。
あなたの時代に、どうだったかは知らないが……
閉じ込められるようなことはないから、
安心してついてきてほしい。
►グ・ラハ・ティア
……知らない名前だな。
その人物が、どうかしたのだろうか?
なるほど……。
しかし、この塔の中にそれらしき者はいなかった。
申し訳ないが、今は互いの目的を優先させてもらおう。
ここならば、周りを気にせず話ができるだろう。
そのどれもが、私以外の第一世界の民は知りえない秘密。
そこだけ、ご了承願いたい。
「暁の血盟」の者たちの行方について、伝えよう。
……が、最近来たというわけではない。
原初世界と鏡像世界では、時間の流れにズレがあるのだ。
原初世界の1時間が、第一世界の1年に相当するときもあるし、
その逆もありうる。
ズレ具合は不定で、予測さえできない。
もっとも、ここ最近はズレが少なくなる傾向にある。
当面は、この点について心配する必要もないだろう。
サンクレッドはこちらに来て5年、
ヤ・シュトラとウリエンジェは3年。
直近のアルフィノとアリゼーですら、
もう1年近く、第一世界で過ごしているのだ。
世界をまたぐ召喚術はとても難しく、
あなたと近しい彼らを招いてしまった。
想定外の不完全な召喚によって、彼らは今、
「見えて触れられる幽霊」というような状態だ。
あなたは、ある程度自由にふたつの世界を行き来できるが、
彼らは自力で帰ることもできない……。
……当初は、私も含め、
彼らを帰還させる方法を最優先で探していたのだ。
しかし、それが難航したのに加え、
ウリエンジェが、召喚される際に通った次元の狭間で、
「ある光景」を視たと告白したことで、事情が変わった。
次元の狭間では、空間も時も、あらゆるものが混在する。
彼がそこで視たのは……未来だ。
それは、原初世界と、第一世界が統合されるという未来。
それと同時に原初世界で発生する「第八霊災」によって、
多くの犠牲者が出るということ。
そして……
その犠牲者の中に、「暁」の英雄……
あなたも含まれていたというのだ。
世界の統合を防ぐことができないかと検討しはじめた。
……魂は原初世界にあらずとも、
彼らは、かの世界とあなたのために、戦い続けていたのだ。
これを打破することができれば、
世界の統合を……霊災を、防げるかもしれないということだ。
その原理については、私が今語ったとて、
到底信じられるものではないだろう。
彼らから話を聞いてみるといい。
当然、再会の手助けは惜しまないし、
ともに戦ってくれるかを決めるのも、そのあとで構わない。
彼らをもとの世界に帰還させる方法についても、
いつか必ず、私が突き止めよう。
だから今は……少しだけでいい、信じてみてはくれないか。
ありがとう……。
信用を裏切ることのないよう、全力を尽くすよ。
仲間に会いにいくために、旅の支度を整えてもらわなければ。
あなたの部屋を用意させるから、休息もとるといい。
……案内しよう。
クリスタリウムにいくつかある居住地のうち、
「ペンダント居住館」に、ちょうどいい空きがあったはずだ。
そこへ案内するとなると、市場の近くを通ることになるから、
念のため、再度それも紹介しよう。
……こちらへ。
「ムジカ・ユニバーサリス」だ。
旅の支度をするときには、ぜひ利用してほしい。
あなたが所持しているギル硬貨も、使うことができるだろう。
大国が発行する通貨が流通していたのだが……
氾濫以後は、混迷を極めてね。
結局、硬貨の金属としての価値を価格とする、
シンプルな方法に落ち着いたのだ。
アラグという文明の貨幣を参考にして、
価格の単位を「ギル」と定めた。
そしてその単位は、私たちの商いとともに、
各地へと広まっている。
こちらでもほぼ同価値のギルになるそうだ。
私たちの生活を大いに支えてくれている……。
あなたにも馴染のものが、あるかもしれないな。
原初世界と、モノのやりとりができた方が……ふむ……。
お前をいちばん優れたピクシーと見込んで、頼みがある。
その故郷と、荷のやりとりをしたいと思っているのだが、
お前の力を借りることはできるだろうか?
ひとまずの無事と、状況を伝えてはどうだろうか?
普通はなかなか人の街に現れないものだが、
中でも好奇心旺盛な彼女は、
クリスタリウムを気に入ってくれたようでね。
あなた用に一室確保できたので、
今後はそこを、私室として自由に使ってもらって構わない。
部屋までは、管理人の彼が連れて行ってくれる。
そこで休んで、旅支度を整えたのちに、
さきほどの「星見の間」でまた会おう。
それでは、私はこれで…………
…………[player]。
こちらへ来てくれて、本当にありがとう。
夜は来ずとも、あなたに安息があらんことを。
少しは休めただろうか……?
それはよかった。
もし何か不備があったら、遠慮なく言ってくれ。
►幽霊が出た
えっ……?
それは、その……はじめて聞く話だが……
もし休息に支障が出るようだったら、また教えてくれ。
「暁」の仲間たちの現在地を説明しよう。
ノルヴラントの暫定地図だ。
「レイクランド」と呼ばれる一帯。
ここには、ウリエンジェが滞在している。
ヤ・シュトラが拠点にしている場所だ。
アルフィノ、アリゼーと再会をすべきだろう。
ここには、貴人や富豪が集う大都市「ユールモア」がある。
彼は、世界を救う足がかりとして、
まず人を知り、人脈を得ることを選んだのさ。
今は当地で、情報収集にあたっていると聞く。
南に広がる渇いた地「アム・アレーン」だ。
ここは、「光の氾濫」によって、
一切の無になってしまった大地との境目。
人が存在できる限界域であり、罪喰いとの戦いも多い。
アリゼーは兄と異なり、まず敵を知るべきだと言ってね。
己の鍛錬もかねて、かの地で用心棒をしているらしい。
アリゼーのいる「アム・アレーン」。
訪ねるのは、どちらが先でも構わない。
行きたい方が決まり次第、声をかけてくれれば、
すぐに移動の手配をしよう。
そうだな、ある人物とともに、
流しの罪喰いハンターをやっている……というところだ。
すぐに再会するのは難しいが、
ときが来れば、必ず巡り会えるだろう。
その過程で、ここノルヴラントの地が置かれている状況が、
きっと見えてくるだろう。
原初世界に用事があるときは、フェオ=ウルを頼るといいが、
あなたであれば、ふたつの世界を行き来することも可能だ。
そこにある魔器は、彼方と此方を繋ぐもの……
あなたが触れれば、原初世界の、
あの装置のもとへと転移できるはずだ。
わかった、それでは案内をしよう。
現在、ここクリスタリウムから彼のいる「コルシア島」へは、
気軽に向かえるような情勢ではなくてね。
特別に飛行獣を用意してもらわなければならないのだ。
そのための紹介状をしたためておいた。
街の入口付近にある「テメノスルカリー牧場」に行って、
獣牧士長の「ゼム・ジェンマイ」に渡してほしい。
あとは彼が、うまくことを進めてくれるはずだ。
私も、つつがなくアルフィノと会えることを願っているよ。
感想は……あえて問うまでもないだろう。
彼女はとくにあなたを案じていたから、再会を喜ぶだろう。
いや……もとはといえば、私が彼女を、
最悪のタイミングで喚んでしまったせいなのだが……。
それについては、もうたくさん怒られたので許してほしい……。
彼女のいる「アム・アレーン」に出入りしている隊商あてに、
紹介状をしたためておいた。
ミーン工芸館の近くにある「アマロ桟橋」に行って、
隊長の「カサード」に、それを渡すんだ。
きっとアリゼーの待つ地へと導いてくれるだろう。
改めて、わかってもらえただろうか?
あれらを退けるのは、途方もない話にも聞こえるだろう。
だが、人は多くの犠牲を払った結果、
ひとつの可能性を見出すに至った。
「大罪喰い」の数は、限られているとわかったのだ。
「大罪喰い」さえ倒してしまえば、
有象無象のものは、一帯での活動を諦めるだろう。
つまり、場合によってはユールモアをけん制しつつ、
大罪喰いの討伐を目指さなくてはならないだろう。
それが私の……
そして、第八霊災を防がんとするあなた方の、
現在の目的ということになる。
<チェック漏れ>
►いまいちピンと
ふむ……。
それでは少しだけ時間を拝借して、
世界の統合や霊災とはいかなるものか、説明するとしよう。
たったひとつだった世界は、14の世界に分かたれた。
あなた方のいた「原初世界」。
そして、第一世界を含む、13の「鏡像世界」だ。
これらの世界は隔たれているものの、互いに干渉しあっている。
とくに、おおもとである原初世界とはね。
特定の属性の力が、異様に高まったとしよう。
すると、水が高いところから低いところに流れるように、
高まった属性の力が、原初世界に流れ込みはじめる。
それが火属性ならば、大火や日照りに。
氷属性なら、過酷な寒波に……という具合だ。
異常はどんどん起きやすくなり、
何かのきっかけで、大規模な災害が発生……
世界を隔てる壁に、割れ目が生じたとしたら?
その勢いで、世界は統合される。
同時に、鏡像世界が有していた偏った属性がすべて流れ込み、
きっかけとなった災害を、一気に助長する。
津波に水属性ならば、大陸すら飲み込む規模になる。
それが「霊災」と呼ばれているものの正体だ。
7つの鏡像世界が統合されてきた……。
統合の条件を満たす可能性が、かぎりなく高いと言えるだろう。
そして、光に偏る一因を担っているのが、やはり罪喰いだ。
自らのテリトリーに強い光を振りまく。
「光の氾濫」自体を回避したはずのノルヴラントが、
夜を失うほど光で満たされているのも、それが原因だ。
したがって、「大罪喰い」の討伐は、
第一世界の属性バランスを正常に戻し、統合を防ぐためにも、
必要不可欠なんだ。
クリスタリウムに流れてくる可能性もある。
各門、警戒態勢をとるように命じてくれ。
お前自身は、現場の指示を頼む。
ただし、突入は私が行ってからだと、
アルフィノとアリゼーにも伝えてくれ。
話の続きは、あるいはこの戦いで、自ずと知れよう。
襲われている「ホルミンスター」の村は、
レイクランドの北方にある。
詳しい場所は、直接案内しよう。
クリスタリウムを出たら、まず西へと直進してほしい。
「従者の門」の先に分岐路があるから、そこで合流しよう。
この街道に沿って北上すると、
「北の集結地」という衛兵団の拠点があるのだ。
目的の「ホルミンスター」には、そこから向かうことになる。
さあ、急ごう……!
クリスタリウムから少し距離はあるが、
同じ地域にある集落として、協力関係を結んでいる。
「大罪喰い」の相手は、私たちに任せてほしい。
ひとりでも多く、助けるんだ。
それでは、大罪喰いのところへ向かうのは、
私、アルフィノ、アリゼー、ライナ、そして……
……では、「ホルミンスター」に突入だ!
大罪喰いを発見したら、躊躇することはない、倒してくれ!
それなりに長生きしてきた結果、
器用貧乏ではあるが、ひととおりの役割はこなせる。
魔法を使った治癒や攻撃はもちろん、
魔力を剣と盾に変えて、守備に重点を置くようなこともね。
獲物を探しているのか?
群れを増やすとは…
クリスタリウムへ!
みな、戦闘準備を!
その顔色で察したよ…
みな、警戒を!
あれは大罪喰いだ!
その光は新たな大罪喰いを生み出し……
人類はこの100年、まともに反撃すらできなかった。
唯一、それを相殺できる力がある。
ゆえに私は、彼女をここへと喚んだのだ……!
大罪喰いが放っていた光、
それによって変じていた世界が、今、戻る!
私は、長い長い年月、待ち続けていた。
光の加護を持ち、
罪喰いを討ち滅ぼすことのできる……あなたのことを。
この地に在るべき闇が戻り、正しき夜が訪れた。
力なき罪喰いはもはや、闇の戻りしこの地に、
根を下ろすことはできないだろう。
取り戻せたのは、恐らくこの一帯のみ。
各地にはまだ大罪喰いが潜み、
光で覆った空のもと、生命を食い尽くさんとしている。
私は、この滅びの定めに、反逆したいんだ。
最大にして……最後の抗いを……!
あなた方を強引に喚んだことは、私の身勝手にほかならない。
この非礼は、いずれ必ず……私の力、命を懸けて償おう。
だから、今は……!
罪喰いを倒し、世界に闇をとりもどしてほしい……!
ああ……!
ありがとう…………!
►おもしろい戦い
<チェック漏れ>
►仕方ない
<チェック漏れ>
クリスタリウムの民に、平和な明日をもたらすためだ。
私は、世界ひとつ、救ってみせる。
だが、これ以上の追及は、今は許してくれると嬉しい。
私はこれでいて、結構な老人なのだ。
己を語る言葉のひとつひとつが、
どうにも膨らみすぎていて、胸につかえてしまう。
そして、ありがとう……[player]。
あなたのおかげで救われた命があり、こうして空も戻った。
たった一歩、されど大きな一歩だ。
……ああ、本当に!
あなたがその「闇の戦士」だということは、
しばらく内密にさせてもらえないだろうか?
あまりに大きな変化だ。
人々の中には、興奮と戸惑いが渦巻いていることだろう。
そこに張本人の「闇の戦士」が現れたら……。
民を疑うわけではないが、
良くも悪くも、収拾がつかなくなる可能性がある。
ただ、彼らの喜びは、間違いなくあなたの戦果だ。
いずれ名を明かすまで、それを忘れないでいてほしい。
皆には、「罪喰いに抗わんとする者が現れた。
その者は大罪喰いを倒して去っていった」と伝えるつもりだ。
民に説明をしておくとしよう。
君たちは、戻ったら休息を取ってくれ。
……今夜は窓を覆わずとも、暗く穏やかな夜になるだろう。
大丈夫、民にはきちんと説明をしたよ。
あなたが案じるようなことは、何もないさ。
今日はもう……おやすみ、[player]。
街で噂を聞いたかもしれないが、厄介な状況になっている。
先ほどここに、ユールモア軍の飛空艇が飛来した。
まもなくこちらへ使者をよこすと、連絡が届いている。
多少窮屈かもしれないが、許しておくれ。
まさか、ユールモア軍の大将軍、
ランジート殿みずからおいでとは。
なぜそれを問うのかくらい、聞かせてはもらえないか。
こちらも率直に答えねばならないな。
私たちは、取り戻した美しい空を歓迎している。
罪なきクリスタリウムの民が、すべて討ち果たされたとて、
動き出した時代が止まりはしないだろう。
ヴァウスリーが元首になる前は、
むしろ罪喰い討伐の先陣をきっていたんだ。
ランジート将軍は、その時代から、
最強と謳われたユールモア軍を仕切ってきた武人だ。
何か、勘が働いたのかもしれない……。
だが、それについては、私に一任してほしい。
今「闇の戦士」を突き出したところで、
いくらでも理由をつけて、この街を押さえにくるだろう。
それがわからぬクリスタリウムの民ではないよ。
彼らはいかなる苦境においても、誇りを持って生きてきた。
此度も、選ぶべきを選ぶだろう。
この場で進軍を宣言されてもおかしくなかったが……。
こちらのミンフィリアについて、知っておくべきだろう。
なにせ込み入った事情だ……
ふたりからも、補足をしてほしい。
それから、今後の対策も……。
それにしても、本当にミンフィリアが捕まったというのなら、
「彼」が沈黙しているはずはないのだが……。
報告がひとつと、提案がひとつ。
あなた方に、いち早く伝えようと思ったのだ。
偵察部隊によって、ラクサン城に駐留しているユールモア軍が、
ミンフィリアを捕縛しているという確証がとれた。
今はまだ城内に留め置かれているようだが、
いつ本国に移送されるかわからない状態だ。
そうなると、彼女を救出するのは非常に難しくなる。
任せてみてはくれないだろうか?
ミンフィリアを救い出すことができるかもしれない。
しかし……さきほども言っただろう?
大切な切り札は、できるだけ隠しておきたいんだ。
ノルヴラントの未来……その一端だ。
だが、希望が胸を焦がすかぎり、立ち上がって歩いていける。
……それを、証明しよう。
此度は、皆に問いたいことがある。
さきほど、ユールモアの総代として、
ランジート将軍が私のもとを訪ねてきた。
彼らは、大罪喰いを討った者……「闇の戦士」の行いに、
クリスタリウムが賛同するならば、進軍も致し方なしと言った。
100年ぶりに取り戻した空、それを見たときの気持ちを。
無論、己の立場は理解している。
私がこの意志をしめせば、もはや対立は避けられまい。
「光の巫女」を捕らえたとの報告を受けている。
罪喰いと渡り合うことのできる彼女を、
ユールモアは、恐らく再び監禁してしまうだろう。
ならば、「闇の戦士」を支持し、罪喰いを退けんとする我らは、
光の巫女を救い出し、仲間に迎えるべきではないか……。
それを以て、ユールモアへの返答としよう!
……あなた方も、一員として、加わるかい?
各自、準備を進めてくれ。
詳しい指示はライナから受けてくれ。
必ずや、皆で彼女を救い出そう。
あなたは、ライナたち衛兵団とともに行動を。
なに、行動を起こした時点で、すべては覚悟の上だ。
転移装置は使い捨て、足止めの魔法も、先ほどのが精々だ。
お前が本気で彼らを追おうとするならば、
私には止める手立てがない。
彼らの向かった先は、我らクリスタリウムも、
ユールモアでさえも不可侵の領域……。
戻ってきてくれたのだろうか……?
大丈夫、こちらはこちらで、うまくやっているさ。
心配なのはむしろ、あなたの方だ。
イル・メグの妖精たちは、人と異なる感覚を持つ……
良き隣人が一転、無慈悲な脅威になることも少なくない。
どうか無事に目的を遂げ、戻ってきてほしい。
そのときには、あなたがちゃんと一息つけるように、
街をしっかり護っておこう。
ど、どうして急にここへ……!
ひとまず、この後の行動は、仲間たちと相談した方がいい。
私の方は、それに合わせて、よしなに進めよう。
招かれざる客まで来てしまったか……。
ひとまず、皆から報告を受けておくよ。
その間だけでも……おやすみ、[player]。
……次なる罪喰い討伐について、話すとしよう。
イル・メグ周辺を支配していた大罪喰いを倒すことができた。
レイクランドのものと合わせて、これで2体目。
「光の氾濫」以降、最大の快進撃といえるだろう。
本当に……ありがとう。
そして、それらを支配する大罪喰いの居場所は、
特定できていない。
そこで、今回は手分けをして調査と討伐にあたりたいのだが、
どうだろうか……?
かの地にいる、ヤ・シュトラと協力して、
大罪喰いの捜索と討伐を試みてほしい。
今回も、事前に連絡をすることができなかった。
あなたは、何度かヤ・シュトラを訪ねているだろう。
道案内をお願いしても?
私もその間に、己の役目を果たしてくるとしよう。
此度の衝突について質したいので、
ユールモアまで来られたし……とのことだ。
話し合いをしてくれる余地があるなら、むしろ上等だろう。
少々、体の調子が悪くてね。
補佐をしてもらえないだろうか?
……くれぐれも、無事に戻ってきてほしい。
レイクランドの「ジョッブ砦」に立ち寄ってほしい。
そこには、光耀教会と呼ばれる、
「光の氾濫」以前に盛んに信仰されていた教会の、遺跡がある。
今はもう立ち入る者もいないが……
礼拝所の祭壇の中に、ある石板が置かれているはずだ。
それを回収して、ヤ・シュトラへの手土産にするといい。
件の石板があるのは、ジョッブ砦にある教会跡の祭壇の中だ。
ヤ・シュトラが気に入ってくれることを祈っているよ。
こうして直接会うのは、お前の就任式以来か。
またずいぶんと大きくなったものだ。
大罪喰いの討伐は、世界の悲願だったはずだ。
実際、レイクランドの人々はもちろん、
あの妖精郷の住民までもが、
闇の帰還を喜びとともに迎えている。
お前はなぜそれを潰そうとする?
第八霊災が起きた未来では、お前のうつろわぬ王国は、
きっと完成していたのだろうよ。
お前の主張は、よく理解したよ。
お前は力を持つがゆえに、いつも人を屈服させる側だった。
自分以下の者しか知らなければ、その結論にも至るだろう。
だが、人類は、お前が思うよりしぶとく、したたかだぞ。
足りるように作り出せばいい……
人の知恵や技術は、そういう夢で磨かれてきた。
時間はかかるだろうが、今回だって絶対に乗り越える。
そのためにも、まず罪喰いを倒すことが必要なのだ。
自分ではもう届くことない希望に向かって、
涙も血も流しながら、誰かの背を押す人を。
託された重みに苦しみ、過ぎゆく別れに泣きながら、
その意味を失くしはしまいと、進んでいく人を。
世界は、そうして繋がれてきたと、私は知っている。
だからこそ、信じて……
眼前のしがらみを断つことに、この命を懸けられる。
未来への道が開いて、皆が……あの人が、踏み出す瞬間を。
ユールモア軍が各地に向かったと聞いたので、
私もアルフィノも、あなた方を案じていたのだ……。
実は、彼には…………
あなたの活躍は、報告で聞いている。
誰よりも多くの罪喰いを倒し、民を救ってくれたと……。
改めて、御礼を申し上げる。
あとのことは、私が、すべての責任を持って引き受けよう。
そうか……それは…………。
皆のためを思うなら、私に必要なのは、
揺らがずに立ち、前を見据え続けることだけだ。
悼みはしても、嘆いてはならない。
悔いたとしても、うつむいてはならない。
恐れも、苦悩も……ただ、この道を選んだ私の内にあればいい。
参ったな……この英雄には、本当に恐れ入る……。
…………ありがとう、[player]。
私が弱って見えたなら、それは、
防壁を展開するのに消耗しただけのこと……。
皆を待って、すぐに作戦会議といこう。
……ありがとう、[player]。
まず、此度の罪喰いによる襲撃についてだが……
この街を預かる者として、感謝にたえない。
その言葉だけでも、民がどれだけ励まされることか。
しかし、本能のまま襲撃をおこなう罪喰いが、
意図的に罰を与えにきたとは考えにくい。
ましてや、レイクランドはすでに光が掃われた場所。
大罪喰いならばともかく、下級のものは避けたがるはずだ。
ゆえに、クリスタリウムはここで屈するわけにはいかない。
それこそ彼の思う壺なのだから。
だが、収穫がなかったわけではない。
ヴァウスリーは、どうやら魅了に類する術を使うようなのだ。
それによって私を傀儡にしようという魂胆で、召致したらしい。
今後、彼と直接対峙することになれば厄介だろう。
戦いのあとゆえ、兵を援助に出すようなことは難しいが……。
せめて、あなた方の拠点として十全であれるよう、
復旧や治療を、迅速に進めるとしよう。
……どうか気をつけて。
彼はここが第一世界だとわかると、最初にこう言った……
「ミンフィリアを知っているか」とね。
その名前は、彼にとっての標(しるべ)なのだろう。
私ごときが口を出せる話でもなし、見守ることしかできないが、
今回の旅の結末が、悪くないものであることを願っているよ。
相手の事情を知ろうともせず戦うことを、良しとはしまい。
お前は、アラグにも……。
私は、お前たちが翻弄してきたもの……
人の歴史、人の執念によって導かれた代行者だ。
彼方より来たりし者による、次元を超えた事象観測。
そして、それらを目にした天才たちが、
生涯をかけて遺した閃き……。
運命に反逆せんとするために。
ミンフィリア……でなくて、リーンたちから、
あなたの具合がよくないと聞いた。
それで、今は!? まだ痛いとか、苦しいとか……!
ひとまず治まってはいるのだな。
度重なる罪喰い討伐を、あなたに頼っているのは事実。
負担をかけているのは、間違いない……。
すべては、私があなたに願ったことだ。
だから本当は、案じる資格すらないのかもしれないが……。
そして、第八霊災の起こらない世界で、冒険を続けるんだ。
体の異変については、私も対処を考えておこう。
この世界から光を掃えれば、私の大事な民が助かる。
もちろん、私が特別に助けたかった人も。
のちほど、また会おう。
戦いの準備は万全だととっても?
それでは、全員そろったことだ、今後についての話をしよう。
これによって、ノルヴラントの大半の地域から、
過剰な光が掃われた。
そこを領する大罪喰いの居場所も、
リーンが現地に向かうことで特定できるだろう。
まず市民の安全を優先したという見方もできるが……。
ユールモアの状況を探るところから、行動を開始してほしい。
必ず無事にやり遂げるんだ。
あなたの状態についての対策は、私の方でも考えておく。
だからどうか……最後の勝利まで、無事でいてくれ。
こちらも適宜把握している。
いざとなったら救援を出すが、ともかく気をつけてくれ……。
大昇降機の下で、ウリエンジェたちと合流したのだ。
あの兵器は塔内から持ち出した貴重な遺物……
収穫もなく潰されたのでは、面目ない。
なに、老人とて、最後くらいは不調を押して張り切るものさ。
街の方は、ライナたちに任せてきたよ。
アマロやチョコボも、自由に活用してくれ。
設計の補佐ということになりそうだが……。
お前が不安に思うのは、これからやろうとしていることが、
どのようなことなのか、きちんと思い描けている証だよ。
人が思い描けること、「あり得る」と認識できることは、
必ず実現できるものなのだそうだ。
それがたとえ、神にも等しい存在の所業であれ……
誰かが、何かが「やった」ことなのであれば、
それは、自分たちの力でも起こせる事象である……とね。
……しかしそうやって遥か頭上に描くものを、
人は、「夢」や「理想」と呼ぶのだよ。
それを追い求めるのは、無論、簡単なことではないさ。
彼らは何度でも、現実の壁にぶつかった。
遥か彼方にあったはずの、人には過ぎたるとされた、
偉大なる事象の数々を。
夢に向かって、一段ずつ、
必死に……今度こそ真っ当に、上っていった階段の先で。
不安で蓋をした心に、挑みたいという想いが、
隠れているのではないかね?
……さあ、私たちも遅れずについていこう。
思いがけない機会が湧いて出たものだ……。
今のところはまだ体も動いているし、
多少なり、力にはなれるはずだ。
彼らはクリスタリウムでも滅多に見かけないから、
こうも集まっていると……不思議な感覚になるな……。
……普段は何かと周りを見上げてばかりの私だが、
ここならば……うん……視界が新鮮だ……!
トルー一家のドワーフ族に、力を貸してもらいに来た。
最長老の「ザモット」はいるだろうか?
……いや、スリングショットでドワーフを撃つのが、
穏便と言えるのかは、議論の余地があるだろうがね……。
あなたの方が適任なのは言わずもがなだが、
その雄姿を、せっかくだから見ていたいのだ。
次の本番も、成功を祈っているよ。
この程度は褒めるまでもないのかもしれないが、
本当に、うまくやるものだと感心したよ。
大変遺憾ながら、鮮やかにやり遂げてみせよう。
戦いの支度を整えてから、出発するとしよう。
なんだって蹴散らせるさ。
戦いの支度は、忘れずに整えてくれ。
罪喰いの襲撃に気をつけながら進もう。
[player]は、左の罪喰いを頼む!
勇敢に戦ってきた人だからね。
落ち着いたら、聞かせてもらうといい。
いこう、[player]!
その間、コルットは私が護る……!
あるいは、その戦いをずっと見てきたからか……。
と、ともかく先に進むとしよう……。
年甲斐もなく、浮かれているのかもしれない。
片づけたら、すぐに進もう!
ほかは任された!
指示した場所に、敵を集めてくれ!
さあ、一気に駆け抜けてしまおう!
その間は、思う存分に攻撃を!
攻撃を受け止める……ッ!
まずい、お互いから離れろ!
蹴散らそう、[player]!
そうだろう、英雄!
無事でよかった、護衛おつかれさまだ。
彼らとどんな因縁があるのかは知らないが、
できることなら無益な被害は出したくない。
私がお前に、姿を消す魔法をかけてあげよう。
エーテルに引き寄せられてくる罪喰いには効果が薄いが、
人の目であれば、欺けるはずだ。
それが効いているうちに、「大地の種」を掘ってこられるかい?
では…………バニシュ!
コグー一家には、できるだけこの場から退いてもらいたい。
そこで……これだ。
眠り薬「ドリームパウダー」だよ。
ミーン工芸館の職人たちが、持たせてくれたのさ。
張り切って作りすぎて、余らせてたな……?
コグー一家のドワーフたちに近づいて、
そっとそれを振り撒いてほしい。
耐え難い眠気を感じれば、彼らも残って作業は続けまいよ。
姿が透明になっているうちに、「ドリームパウダー」を、
コグー一家のドワーフたちに使うんだ。
すぐに掛けなおすとしよう。
では……!
……バニシュ!
ここで採掘していたコグー一家のドワーフ族たちは、
皆、外へ退散していったようだ。
おつかれさま、我々にできる仕事はここまでだ。
あとはコルットが鉱石を掘り出してきてくれることを信じて、
待っているとしよう。
それほどの量があるのなら、チャイ・ヌズは必ずや、
心核としてうまく活用してくれるだろう。
さあ、早く運び出してしまうとしよう…………
クリスタリウムを離れて、しばらく経ったからな……。
それに、少しばかり、はりきりすぎたらしい。
せっかくの機会なのに……ままならないものだ……。
これは、放っておくと決着がつかなさそうだ。
ここにまだ、ドリームパウダーの余りがあるのだが?
……あなたはいつか、彼らのイザコザに、
また改めて巻き込まれるような気もするがね。
だが、私たちには先を急がねばならない理由がある。
この場は少し強引に収めさせてもらおう。
いつかまた改めて、彼らのドタバタに巻き込まれる日も来よう。
しかし今は、この場を収めさせてもらうぞ。
私に免じて、今は怒りを鎮めてほしい。
お前は、そういった事情を押してまで、この場所に来てくれた。
おかげで私たちは目的を果たせたのだ。
ノルヴラントの平和にむけて、計画をさらに進めよう……!
ここから先は、手分けをして迅速に進めよう。
チャイ・ヌズのところへと運んでおく。
行きに道中の罪喰いを掃討してあるとはいえ、
ひとりで帰らせるのは心配だ……。
……短い時間だったが、ともに冒険できて光栄だったよ。
またのちほど、アミティーで。
あなたは「トメラの村」に戻り、「ザモット」に報告を……。
少し風にあたって休もうとしたのだが、眠ってしまったらしい。
……申し訳ない。
私はクリスタルタワーから離れると体調を崩すのだ。
いや、これは体調と言っていいものか……
私はすでに、人の身ではないのだから。
この世界を救う方法を考えていた私は、
どうあれ長い時間がかかると結論づけた。
だから、遠く離れていると不調をきたすというわけだ。
だが、あなた方のおかげで、終わりは近い。
やっと、願いが叶う……。
それなら……よければ少し、話さないか。
何かやりたいことは?
その戦争自体が止まるわけではないからな……。
こういう人を英雄と呼ぶのだと、何度でも思うよ。
道を拓くだけの強さを持っているし、それに……
あなたに助けられた人たちが、大勢いる。
彼らは決して、そのことを忘れない。
彼らが声を上げるだろう。
嬉しかった、優しさに救われた、今でも感謝していると。
それらはいつか繋がって、あなたの歩んだ道を肯定する。
だから……大丈夫だ。
あの人は、今も生きている……が、
とても特別な事情があって、私は彼女と正面から向き合えない。
あの人は私にとって、いちばん憧れの英雄なんだ……
叶うならば、気兼ねなく話がしたい。
あちらが旅の話をしてくれたら、
私も、ノルヴラントを救うまでの話をしよう。
なんといっても、最終的に活躍したのはあなただ。
格好はつかないかもしれないな。
そこに私も加わることになっていたら、どれほど嬉しいだろう。
なんて眩しい、遥かな夢だ……。
この手に託されてきた、人々の願いを叶えるために。
アミティーに戻るとしよう。
さて……罪喰いとの最後の決戦を、はじめよう!
チャイ・ヌズに、タロースの状況を聞いてみよう。
さすがにヴァウスリーも動くだろう。
そうなってはもう、中断は利かない……。
ゆえに、あなたの戦支度がすべてすんだら、
私に声をかけてくれ。
あなたの号令を、待機中の仲間たちに届けよう。
準備ができているのなら、タロース起動の号令をかけよう。
支度がすべて整ったら、また声をかけてくれ。
では、皆に号令を伝えよう!
ヴァウスリーの指示だとしたら、脅威だな。
罪喰いを地上に引きつけるとしよう。
どこまで効果があるかはわからないが……
これでタロースも、しばらくの間は、
山に取りついていられるだろう。
ここより北、グルグ火山のふもとで合流し、
突入を開始してくれ!
私が危なくない場所に誘導しておく。
あなたは、北にある火山のふもとで、皆と合流してくれ。
すべての大罪喰いの力が、ひとところに集まった。
私ごと、別の世界へ転移するのだ……!
私はずっと、この瞬間を夢見てきた……。
こんな壊れかけの世界に留まるより、
新天地で楽しく生きたい……当たり前だろう?
そのために、お前を利用させてもらったのさ!
小悪党が少しばかりちょろまかす。
それだけのこと、ありきたりなオチのひとつさ。
いずれこれも、取るに足らない笑い話になるだろう。
明日も楽しく暮らしている。
だから……!
唐突な話で、信じがたいだろうが……。
シド・ガーロンドとその仲間たちが、生き延びたことだろう。
彼らは終わりのない戦乱を鎮めようと、
さまざまな手段を模索していった。
そのうちのひとつが、かの英雄との冒険から着想を得、
彼らが生涯をかけて追及した理論……
実践するかどうかは、次の世代の判断に任された。
人は奪い、殺し、あらゆる希望が焼き払われた。
皆、うなだれて言っていた。
この世界はもうだめだ、人は道を間違えたのだ……と。
こうして生まれたことを、無意味にしてなるものか。
別の未来への可能性を、この手で拓くのだ。
天才たちの遺した知恵で、第八霊災の発生を阻止しよう。
長い長い時間をかけて、シドたちの理論を実現させていった。
そうして、霊災発生から約200年。
計画に必要だったクリスタルタワーの再起動に成功し、
その管理者たる私も、同時に目覚めたというわけだ。
第八霊災のときに統合されたのが第一世界だったことは、
明らかになっていた。
転移に際して必要なエネルギーも、こいつなら集積できる。
100年近くも早くなってしまったがね。
目印を用いてなお、両世界の時の差異は測りがたい……。
とはいえ、結果的にはそれで正解だった。
罪喰いという、光の加護なしには倒せない相手がいた以上、
彼女を喚ぶための時間が必要だったのだから。
だからこそシドたちも、可能性を遺しておきながら、
「やれ」とは言わなかったんだろう。
他人の幸せのために心血を注ぐのは、簡単なことじゃない。
ましてや、誰もが明日をも知れぬ身の、
混沌とした世においては……。
こんな計画が形になったのにも、偶然ではない、理由がある。
あの英雄の冒険譚が、人々を繋いでいたんだ。
終わりないはずの戦いに、終止符を打った人がいた……。
嘘みたいにまっすぐと、あの英雄は進んでいく。
その歩みは、語れば勇気に、聞けば希望になる物語として、
絶望の時代のそこかしこで輝いていた。
かけがえのない盟友として刻まれていた。
その冒険が綴られていた。
その物語を語り継いできた人々もいた。
あの英雄のために、自分ができることがあるなんて上等だ、と。
遠くの星だったはずの彼女に、想いが届けられるなら、
みんなでこう言ってやろうじゃないかと。
死してなお、人の希望であったのだ……と。
この計画の成功をもって、あの人に命を届けにきた。
……あなたに、協力者になってほしくてね。
以前、第一世界が「光の氾濫」の危機に瀕していると知って、
ミンフィリアを送り込む手引きをしたのは、自分だったのだと。
だからこそ、彼女の護ったこの世界を救わねばと覚悟している。
あなたなら、進むことを選んでくれると思ったのだ。
私は光を引き受けて死ぬ。
彼らのことだ、計画を止めようとするかもしれない。
……だが、それでは誰も救われないのだ。
私の正体を隠す手伝いをしてほしい。
ウリエンジェ……
どうか協力して、私が話した第八霊災の危機を、
あなたが次元の狭間で視たことにしてもらえないだろうか?
なら、それを助けに行くのは、
誰にも譲れない……オレの役目だ。
このままじゃ死にきれないから、這い出してきたんだ。
ひとたび我らに力を貸したまえ……!
あなたたちのおかげで、第一世界から罪喰いの脅威が去り、
この地を覆う光もまた、消え去った。
これですべてがもとどおり……とはいかないものの、
ここから少しずつ、この世界は浄化されていくだろう。
原初世界における第八霊災も、防げたと言っていい。
歴史から切り離されてなお、あの未来が存続しているのか……
あるいは私という存在が、こちらの歴史に刻まれたからなのか。
困った事態にもなっている……。
本来なら、あなた方の魂は、
召喚者である私の死をもって、原初世界に返されるはずだった。
あなた方もまた、第一世界に留まってしまっている。
ズレたりしないし、ほかの奴も巻き込まないさ!
少し待っていてくれ。
それでも、目指して歩かなければ、永遠に届きはしない。
そのための勇気だって、もう十分にもらったじゃないか。
眠っている場合じゃないぞ、グ・ラハ・ティア。
まさか、私の転移術がまた失敗……
あちらの世界での用事は済んだのか?
それとも……こっちに、新たな冒険が?
変化にあたって多少の混乱こそあるものの、
人々は夜の闇を受け入れて、たくましく暮らしはじめたようだ。
仲間の皆は、各地に散って、
変わりゆく人々に添っているようだ。
アルフィノは、ユールモアへ……
アリゼーは、旅立ちの宿へ……。
そしてヤ・シュトラは、魔女として「夜の民」のもとへ。
リーンたちについては、何やら気になることがあるとかで、
しばらくこの街に出たり入ったりしているらしい。
あなたが戻ったら連絡をするように言われているが……
あの様子では、本格的に招集をかけるのは、
もう少しあとでもいいだろう。
無論、その間にも、彼らを帰還させるための術について、
調べは進めておくつもりだよ。
だからあなたは、しばしの休息と、自由な旅を楽しむといい。
そのマメットはいったい……何がどうしてそうなった……?
「シルクスの峡間」の探索費用を稼ぐために作ったもので……?
さる賢人をモデルにしている……と?
い、いやおかしいだろ……
私はタタルとは面識がなかったし……
誰がそんなの発案したんだ?
それとも……そうだ……あいつだろ、ラムブルース!
ああ、絶対に間違いない……!
あいつのことだ、あわよくばそのマメットが未来に残って、
いつか目覚めた私が得も言われぬ気持ちで拾ったらおもしろい、
くらいに考えててもおかしくないぞ……!
まあ、「こっちはたくましく生きてるぞ」という伝言は、
これ以上ないくらいに、伝わってくるがね。
……前にも言ったが、私はこれでいて、結構な老人なのだ。
「水晶公」として生きてきた時間は長く、
それについて、無理に己を偽っているとも思っていない。
ただ、それでも……
あなたがそうして昔のままに語り掛けてくると、
時折どうしようもなく、あの日の自分に返りそうになるんだ。
「ノア」だった日の、あんたとオレと……
ドーガにウネ、シドたちも一緒に、
この塔にまつわる真実を求めて走り回ってた……。
あのときのあんたも、すごい奴だなって思ってたけどさ……
今回は、もっとカッコよかったぞ、[player]!
変化にあたって多少の混乱こそあるものの、
人々は夜の闇を受け入れて、たくましく暮らしはじめたようだ。
仲間の皆は、各地に散って、
変わりゆく人々に添っているようだ。
アルフィノは、ユールモアへ……
アリゼーは、旅立ちの宿へ……。
そしてヤ・シュトラは、魔女として「夜の民」のもとへ。
リーンたちについては、「無の大地」にて、
件の調査を進めてくれている。
あなたが戻ったら連絡をするように言われているが……
あの様子では、本格的に招集をかけるのは、
もう少しあとでもいいだろう。
無論、その間にも、彼らを帰還させるための術について、
調べは進めておくつもりだよ。
だからあなたは、しばしの休息と、自由な旅を楽しむといい。