えおろーぐ

……なんじゃ、お主ら。
ワシに何か用かの？

いったい、これをどこで……！？
これは、ナバスアレン王国のマリク……
すなわち「国王」が書簡の証明に用いていた印章じゃぞ！

うむ、まさしくこの世に、ふたつとない品じゃ。
歴史的にも、極めて価値が高いと言えよう！
……が、商業的な価値は、
ありふれた銀の指輪と同じ程度じゃな。

……すまんが、その休憩とやらが終わったあとにでも、
ワシの話を聞いてくれんか？
頼みたいことがあるんじゃ。

む、よいのか？
では、お言葉に甘えて……。
お主らに頼みたいのは、ほかでもない。
印章と同じ、ナバスアレンの王族にまつわる遺物を、
ワシと共に探し出してほしいのじゃ。
「光の氾濫」による王都崩壊の直前のこと、
ナバスアレン最後の王は、幼い王子と民を連れ、避難を指揮した。
家臣たちは、宮殿より数多の財宝を持ち出したが、
王は、足を早めるため、身を軽くするよう命じたという。
こうして価値の低いものから、宝が次々と捨てられたそうじゃ。
それらの宝は、いまだ見つかっていなかったのじゃが……
印章が発見された場所から逆算すれば、範囲を絞り込める。
どうじゃ、ワシと一緒に「拾い」にいかんか？

おお、受けてくれるか！

仮に、発見された宝の価値が低くとも、
労働に見合う対価は、ワシが約束しよう……。
どうじゃ、お主も依頼を受けてくれんか？

最初の目的地は「旅立ちの宿」の東じゃ。
さあ、宝探しの始まりじゃぞ！

よく来てくれたのう。
ワシの記憶では、このあたりに宝が捨てられているはず。
価値の低いものから放棄されたとはいっても、
後々に回収することを考え、それなりの隠蔽はしたはずじゃ。
地面に埋める程度のことは……な。
その際、王家に伝わる印章の文様がヒントとなるよう、
目立つ岩場を軸に、隠す場所が決められたとも聞く。
それらを踏まえた結果が、この辺りなのじゃよ。

ワシも手伝いたいところじゃが、
この老骨が下手に手を出しても、邪魔なだけじゃろう。
すまぬが、よろしく頼むぞ。

むむ、何か見つけたかの？
ではまず、グーングンに渡してやってくれ。

ふむ、ナバスアレンの紋章を記した装飾盾のようじゃな。
その「城の上に5つのコイン」という図案は、
王国に属す5種族と富を示すという。

そうじゃなあ、ナバスアレンは、
ノルヴラントの富が集まる交易都市じゃったからのう。
知っておるか？
ナバスアレンは、ヒュム族が興した国じゃったが、
領地の大半が荒野とあって、当初は貧しかったことを……。
じゃが、モルド族から過酷な荒野を渡る術を教えられたことで、
独自の交易路を築くことに成功し、一躍、発展を遂げたのじゃ。
つまり、王国にとってモルド族は恩人なんじゃよ。

さて、そろそろ移動するかの。
次の埋蔵候補地はここから南へいったところじゃ。

では、次じゃ。
そこに見える瓦礫の下に、遺物が埋まっているはず。
うまく掘り出してくれい！

そこに見える瓦礫の下に、遺物が埋まっているはずじゃ。
うまく掘り出してくれい！

おお、また何か見つけたか。
先程と同じく、グーングンに渡してくれるかの。

おそらく、アム・マリク新宮殿に飾られてた彫像じゃろう。
ナバスアレンでは、友好を示すために、
モルド族の石像がそこら中にあったからのう。
じゃが……これは知っておるか？
これほど緊密な王国とモルド族も、
当初は争いが絶えんかったんじゃよ。

長い年月をかけ、両者は歩み寄り、
友好関係を築いていったんじゃよ。
いまの状況は、その延長線上にあるわけじゃな。
さて、ワシの知るナバスアレンの埋蔵候補地はあとひとつ。
ここまでつきあってくれて、感謝するぞ。

最後の遺物は、ここから西にあるはずじゃ。

最後の遺物は、このあたりにあるはずじゃ。
お主も探してみてくれんか？

……ひとつ、尋ねてもよいかの？

ふむ、では端的に……。
グーングンはなぜ休憩を、半ば放棄してまで、
ワシの頼みを聞いてくれたんじゃ？

モルド族だから、じゃと？

なるほどのう。
その心意気があったからこそ、
ナバスアレンの難民を救ってくれたんじゃな……。

ゲーンゲン族長、少々話が……おや？

おお、ふたりも報告に来ておったか。
これはちょうどよかったわい。

ぼ？

誰が亡霊じゃ、失敬な。
そろそろお迎えがきそうなことは否定せんが、
今はまだ生きとるわい！

……ふむ、ワシが姿を消した上に、
最後のマリクと同名だったから、亡霊と勘違いした、と？

よいか、覚えておくがいい。
最後のマリクの名は「ジャミアル9世」、
ワシは、祖父の名を譲り受けた「ジャミアル10世」じゃ。

ふたりへの報酬を用意するため、先に戻っておくと、
そう伝えたつもりじゃったが、聞こえておらなんだか？
すまんのう……。

さて、お主らには改めて礼を言わねばな。
ナバスアレンの遺物を「拾って」くれて、ありがとうよ。
これで我が祖父の心残りも、晴れたことじゃろうて。

……ゲーンゲン族長、
ご子息はずいぶんと立派に育ちましたのう。

よかろう、グーングン。
このまま、消えゆくものと覚悟しておった歴史を、
お主に「拾って」もらうとしようかの。

おお、久しいな。
まずは「グーングン」から話を聞いてくれんか。

実は最近、この風車から異音が響くようになってのう。
ワシとグーングンで、修復に挑んでおったのじゃ。

そして、図面を参考に異音の原因を調べたところ、
ナバース鋼で造られた軸に、歪みが生じているとわかったのじゃ。

さきほどの話によれば、キー・サット殿は、
ナバース鋼の再現まで、あと一歩の様子……。
風車の軸を調べて、情報を集めてみてはいかがかの？

ほほう！
ではこれで、風車も直せるというわけじゃな！

ホッホッホッ！
どうやら「トゥワイン」に絡まる三本目の尻尾は、
モルド族で決まりのようじゃのう！