えおろーぐ

………………。

……誰かと思えば、我が友クリフトルの娘っ子じゃないか。
私に何か用かな？

……断ると言ったはずだ。
だが……護衛まで雇って来たお前さんに免じて、
3つ、私からの頼み事を聞けば、考えてやらんでもないな。

我が友クリフトル……お前さんの親父でもあるが、
やつが「縄切り鎌」を探していたんだよ。
渡してやりたくてな、村人から借りて持ってきてくれないか？

……持ってきてくれたのか？

おおっ！
持ってきてくれたか！
ご苦労だったな、これでクリフトルの野郎も喜ぶだろうな！

ああ……まだやるつもりか。
そうだなぁ……。
……のろまなタロースが帰ってこないんだ。
魔物に襲われているのかもしれん。
ちょっと様子を見て、助けてやってくれないか？

ううっ……畜生……畜生……。

おお、そうか、ご苦労だった！
あいつが戻ってきたら、久しぶりに体でも磨いてやるとしよう！
はは……まったく、手のかかる子ほど可愛いとはよく言ったものだ！

君も、ありがとうな！

…………愛しい妻へのプレゼントに、
岬で花を摘んできてくれないか……？
今朝、彼女の機嫌を損ねてしまってな……。
帰って……こないんだよ……。

「あの日」に戻ることができたら……。

ああ……どうもありがとう……。
これで……これで、私の愛しい妻は戻って…………
戻って…………ううっ……っぐ…………。

ユーリス、君に酷いことをさせてしまって、
本当にすまなかった……許してくれ……。

旅の方も、悪かったね……。
ありがとう……。

1年前の「あの日」、私は最愛の妻や友人たちを亡くし、
自分が生き残ってしまったことに絶望していたんだ……。
そして、私以上に苦しんでいた親友を救うことができなかった……。
私は、そんな自分自身が許せないんだ……！
逝ってしまった人が、まるで生きているかのように振舞えば、
あの悲劇が、夢の出来事になるんじゃないかと……
君たちにまで、心ないことを押し付けてしまった……。

ありがとう……。
集めてくれた花は、妻の墓に供えさせてもらうよ。
それで、村長の件だが……
本当にすまない……もう少しだけ考える時間がほしい。

ああ、そのことだが……
どうしても、心に引っ掛かることがあってな……。

1年前のはぐれ罪喰い襲撃事件の日、
私は、ここストーンゲイザーで見張り番についていたんだ……。

ああ……そして、私は最大の過ちを犯した。

その日、現れたのは、これまでの「はぐれ罪喰い」とは、
明らかに異なる姿をした存在だったんだ……。
遠目には、ただの「人」に見えた。
だから、罪喰いの接近を知らせる鐘を鳴らすのが遅れ、
その結果……逃げ遅れた皆は…………。
あの日、村人たちを守れなかった私に、村長など務まるのか？
無念の死を遂げた村人たちは、私を許すだろうか？
あの憎き罪喰いが、まだ存在しているというのに……！

君が、いずれ我々の仇を討つと言ってくれるのか……。
ありがたい、悔しいが我々は罪喰いの前では非力だ。
奴が再び現れたときは……君を頼りにさせてくれ。

いや、いいんだ……。
こちらこそ、君にすべてを押し付けてすまないと思っている。

この村のために、私がすべきことは……。

ああ、君か……。
君にはとても感謝しているよ。
摘んできてくれた花は、妻の墓に供えるとしよう。
ところで、私に何か用があって来たのかい？
ユーリスが私を……？
わかった、一緒に麦畑に向かおう。
報せてくれてありがとう。

この麦畑、しばらく足を踏み入れてなかったな……。

この麦畑は……クリフトルが大事にしていた畑だったか……。
今は、娘の君が手入れをしているのか？

夢……？

………………。

ああ……もちろんだ……。

ユーリス。
この地方の土地は、痩せていて本来農耕には適さない。
かつてのエールを村に取り戻すには、苦労することだろう……。
だから、親友のもうひとつの夢を叶えること、
私にも手伝わせてもらえないだろうか？

ライト村に、かつての活気を取り戻すんだろう？
この村の人間は、1年前の事件で皆心を痛めている……
それでも、生き残った我々は生きねばならない。
すぐには立ち直れないだろう……だが、
この痛みを抱えて皆が前を向ける日が来るまで、
私にできることがあればやってみようと思う。

私に、村長を任せてもらえないだろうか。

君とユーリスが、
廃人同然だった私に辛抱強く付き合ってくれたおかげで、
少しずつ、前を向けそうだ。
本当に、ありがとう。

……さあ、これから忙しくなるぞ！
他の村人にも、話をしてこなければな。
ユーリスも、一段落したら来てくれよ。

おや、君は……！

あれから、正式にライト村の村長に就任してな。
隣村に挨拶に行ったりと、慌ただしい日々さ。
身体も訛っていたことだし、忙しさで気も紛れそうだよ……。

ふむ……。
それでは、ドワーフ族に倣わねばな。

こうだろうか……ラリホー！

な、なんだって！？

な、なるほど……。
だが、生憎この痩せた土地の改善に苦戦していてな……。
エールを増産できるほど、大麦が育つには、まだまだ……。

いい方法を知っているのか……？

何が起こるのか想像もつかんが、君がついていれば安心だ。
すまないが、よろしくお願いしよう。

リン鉱石だって？
……その名前は聞いたことがあるが。

ここまで手を尽くしてくれているんだ。
彼らを信じて、共に「トメラの村」まで赴くとしよう。

み、妙なネーミングだな……。
あのオートマトンが、鉱脈を探し当てるというのか……。

驚いた……！
自動で鉱脈を探し当て、リン鉱石を持ち帰ってくるとは……！
君はいったい……？

あなたがトメラの村の最長老様ですか。
私はライト村の長、サイ・リュクといいます。
実は、このロニット君に……

くくっ……ははは！
だあっはっはっは……！

トメラの村の最長老様。
この鉱石、私たちに譲ってもらえないでしょうか？
必ずやこのリン鉱石を有効活用し……
最高の「ライトエール」をお持ちすると約束します。

君のおかげで、どうにか未来を切り拓くことができそうだ。
それに……あんな風に心から笑ったのも、いつぶりだろう……。
本当に、ありがとう……！