洋の東西にて反撃の狼煙を上げ、憎き帝国の者どもに、
ひと泡もふた泡も吹かせてやろうではないか!
これにて10本先取……拙者の勝ちにござる!
おぬしたち、なにゆえこのようなところに!
ともかくお互い、近況を語り合わねばならぬようでござるな。
そして、拙者は見事に勝利したところなのでござる。
何やら走り回らせてしまった様子……真に面目ない。
しかし、このとおり拙者はピンピンとしておりますぞ!
おぬしは、拙者を騙したナマズ男ではないか!
ここで会ったが百年目……三枚おろしにしてくれようぞ!
拙者はクガネにて、ユウギリは大陸側にて、
それぞれが捜索を行うつもりでな。
ヒエン様とは、代々、ドマを治めてこられた国主一族の当主、
拙者やユウギリが仕える主君でござる。
独立を求める声は強く、度々、反乱が起こってきた。
つい最近も、大きな反乱があったのは知ってのとおり……。
一時はドマ城を奪還するまでに、勢力を盛り返した我らであったが、
ヤツの第XII軍団が現れて、形勢は逆転……。
敗北を悟ったヒエン様は、ユウギリに民を託し、
落ち延びるように命じると、少数の手勢を率いて残ったのだ。
民を逃がす、時間を稼ぐために……。
ヒエン様は、拙者とともに当地で戦いをつづけておったが、
激戦の最中で窮地に陥り、今や行方知れず……。
ゆえに忍びの技に長けたユウギリを呼び戻したのだ。
「ヨツユ」という女狐の下で、より締め付けが厳しくなっておる。
このままでは、残された民も、そう長くは保つまい……。
どの道、クガネでは有益な情報を得ることができず、
拠点に帰らねばと思っていたところでござる。
ヤンサの地にある我らの拠点にて、
ユウギリと合流する手はずになっておってな……。
まずは紅玉海を越え、大陸を目指しましょうぞ!
ひとり先行して、大陸へ向かってもらったのだ。
それにしても、コウジン族の船頭とは心強い!
紅玉海を警戒するために建造された、人工島でござる。
すすんで体を動かす、その心意気やよし!
賊ではあるが、紅玉海の治安の守り手でもあるゆえな。
しばしこちらを離れてござったからな……。
あの女狐め、また悪行を重ねておったか!
こうしてはおれん。
一刻も早く大陸側に渡り、村々の様子を確認せねば!
ソロバンをフン捕まえて、船を出すでござる!
拙者の目と記憶が曇っていなければ、
ソロバンと、帝国兵を護っていた連中とは、
コウジン族の中でも、異なる部族であるように見受けられた。
であれば、ソロバンに悪気があると決めるのは早計よ。
ほとぼりが冷めるまで、サカズキ島で待っているのかもしれぬ。
一度、戻ってみるでござる!
大当たりでござったな!
皆、待っておれよ……!
おぬしのような良き商人と出会えたこと、感謝いたそう!
身は隠せよ……憎き帝国兵どもがおるようだ。
恐らくこれは、常の状態ではござらん。
ふぅむ……一足遅かったのか、間に合ったのか……。
見間違うものか、奴こそドマの大敵! 主の仇!
祖国を売り飛ばした代理総督、ヨツユでござる!
拙者は、今すぐ、あの狼藉をやめさせねばならぬ!
今は落武者なれども、拙者はドマの侍大将……。
奴らに姿を晒し、あえて囚われれば、尋問にもかけられよう。
おぬしらは、その隙に策を成せぃ!
天命が尽きるまでは、決して死なんッ!
何より拙者、こう見えて、捕まるのには慣れているでござる!
おぬしらは一旦ここを離れ、北東に見える塔を目指せ。
そこにいる連中とならば、奇策も浮かぶやも知れぬ。
拙者の身柄で手を引け。
さもなくば、ここで千人斬りの刀を抜こうぞ!
廓きっての女狐が、国を売って偉くなったものよ。
それとも、サシハイの寡婦と呼ぶか……。
こうして祖国を蹂躙し、おぬしの気は晴れたでござるか?
おぬし相手に、今さら問答するようなことではござらん。
おぬしの飼い犬が殴ってくるもので、
すっかり忘れてしまったでござる。
そう言ったのを、忘れてはござらんな……?
捕まるのは慣れていると申したでござろう。
このとおり、ぴんぴんしておるわ!
かの地には、今も拙者の仲間が潜んでいるはず……
合流し、次の手を講じるといたそう。
おかげで拙者も、ほかに尋問にかけられていた者らも、
なんとか無事に解放されたでござる。
海賊衆との協力なぞ、
無理難題をふっかけたかと思ったものでござるが、
ここまでしっかと手を組んでみせるとは……。
まこと、あっぱれな御仁らよ!
かくなる上は、ドマ人として、誠心誠意この恩に報いねば。
再び旅の道連れとして、よろしく頼むでござるッ!
……さて、海賊衆にもらった猶予を無駄にはできぬ。
さっそくだが、「ヤンサ」の地に向かうとしよう。
かの地へは、ここより南西にある洞窟から入るのがよい。
いざいざ、参ろうではござらんか!
皆、遠路はるばる、ようこそおいでくださった。
ここはヤンサ……先の説明どおり、
祖国ドマの城郭が据えられた、国の中心地でござる。
拙者もエオルゼアに渡る前の状況しか知らぬが、
伝えておくに越したことはなかろうな。
1年前、ドマ反乱軍をほぼ壊滅させたゼノスは、
代理総督の座にヨツユをつけ、この地を去った……。
以降、ヨツユは気まぐれに各地へ出向き、
過剰なまでの反乱分子狩りをはじめおった。
……これが「粛清」にござる。
粛清がすんだ土地は、旧来の監視体制に戻ると聞く。
腹立たしい話ではあるが、海賊衆の言ったとおりであれば、
ここらの監視はもう、さほど厳しくはなかろう。
ちょうど、この先に「ナマイ村」という村がある。
行って、今の状況を確かめるでござる!
この坂の上にあるのが「ナマイ村」でござる。
ここでとれた米と、デカデカとした柿はうまいぞぅ!
拙者も、反乱以降はろくに訪れておらぬが、
ソレ、人の生活する気配がしおる。
あとは、帝国兵がおらねばよいのでござるが……。
帝国兵がひそんでおらぬか、様子を見ようではないか。
[player]殿、おぬしも頼むぞ。
行って、直接話を聞くとしよう。
ナマイ村の皆よ、健在でござるか。
この一帯の状況を教えてくれぃ!
そろいもそろって、化け物でも見たような顔しおって。
あっはっは、確かに幾度か死にかけたが、
ほれ、足もあれば透けてもおらん!
どうしても何も、話を聞きに来ただけでござる。
警戒せずとも、化けて出たわけではござらん!
何をそんなに慌てているのでござるか?
ひとりで焦っておらんで、きちんと話をせぃ!
まず、おぬしは何者だ!
拙者のことを、知っているのでござるか?
なんだ小僧、そんなことを案じておったのか!
この身は帝国軍に刃を向けた修羅なれば、
指名手配のひとつやふたつ、掛けられて当然でござろう。
されど、ナマイ村からは、
先の反乱の際にも、多くの勇士が名乗りでている。
拙者をつきだそうとする者など、おるものか!
拙者たちに気を使っておるではござらんか。
ううむ……わからん小僧よ……。
だが、安易に顔を出せる状況ではござらんようだ。
しかれば、村での聞き込みは一旦あきらめて、
ドマ反乱軍の拠点……「烈士庵」に参るとしよう。
ここよりもっとも近い入口は、
ナマイ村の北にある泉から、水路を行った先にある。
どれ、案内いたそう!
ささっ、遠慮なく飛び込むでござる!
む、拙者が潜れるか案じておるのか?
なぁに、たいした距離ではござらん。
こんなものは、いつも気合よ!
よ、よくぞ来た、この先が「烈士庵」でござる!
門番にも、すでに話は通してあるぞ。
だが、戦火の中で多くの仲間は斃れ、
一命をとりとめた者が、ようやくここに集ったのでござる。
任務に出ている者も含め、全員をかき集めたとて、
かつての戦力には遠く及ばぬが……皆、立派な憂国の士。
今なお挫けずドマ解放を目指す、同志でござる。
ということは、若が見つかったのか!?
おぬしに頼んでおった、若の捜索はどうなったのだ!
若はご無事であられたのか!?
今はどちらに!? まさか、すでにここへ……!?
なるほど、若らしいご決断にござる。
あの方は、民あっての主君であると、誰より理解しておられる。
ゆえに、まず民に再起の志がなくば、
戦いを強いはしまいと言いたいのでござろう。
はるばる西方から来てくれた仲間を労り、
ここは一度休憩といたそう。
昔なら重傷であれ気合でピンピンしておったものだが、
寄る年波か、傷の治りがすこぉし遅くなりおったわ……。
……して、どうでござるか、我らが「烈士庵」は?
エオルゼア同盟軍の威勢を知るおぬしからすると、
たいそう貧弱に見えるかもしれぬな。
ドマの反乱軍が発足したのは、今から約10年前のこと。
国をおとされてから、そこまで再起するのに、
15年かかったのでござる……。
以来10年、何度か小規模な反乱運動を起こしてきたが、
いずれも成果は上がらなかった。
されど1年前は、ようやっと勝機の見える戦でござった。
忍びの里で内乱が起き、さらにヨツユの売った情報をもとに、
悪鬼ゼノスめが攻め込んでくるまではな……。
先の反乱で敗北を喫した際も、
奇跡的に位置を知られずにすんだゆえ、再利用しておるのだ。
遊女として帝国の高官に近づき、
ささいな情報を得ては、反乱軍に提供していたのでござる。
しかし、奴の真の目的は逆よ……。
信頼を築くことで反乱軍の情報を得て、
ゼノス擁する帝国の一派に、それを売っていたのでござる。
あの飛空戦艦の行き先は、ドマ城で間違いない。
乗っているのは……皇太子ゼノスにござる。
それが、おぬしだけの意趣返しであるなら止めはせぬ。
拙者とて、あやつを斬りたい気持ちは同じ。
しかし、敵将を相手取るということは、
ドマの今後をも左右しかねん決断であると、わかっていよう。
……なればこそ、我らが主命を思い出すでござる。
それはいっときの勝利にすぎぬ。
報復に現れる帝国の手勢を前に、守られるばかりの民を抱え、
おぬしひとりの命で何ができる。
思い上がるな!
主の言葉や、もろもろのありさまを鑑みれば、
ゼノスの暗殺に振るう刀はないゆえな。
だが、それは拙者の道理にござる。
おぬしがユウギリにつくことで何かが果たせるというなら、
信ずるとおりになされよ。
ユウギリはまず、暗殺のための情報収集と下見にかかるはず。
今から探せば、遠からぬところで見つけられよう。
ただ、拙者が主の言葉から感じ取った核心は、
別にあるということでござる。
ただ、拙者が主の言葉から感じ取った核心は、
別にあるということでござる。
ならば、よし。
ふたりそろって、鬼のごとき気迫でせまってきおって!
ならば、よし。
……おぬしも、何か声をかけてくればよかろうに。
おぬしは、主がなぜあのような命を下したのか、
一度冷静に考えるべきでござる。
……すべては、臣下と民を守るため。
おぬしとてそこに含まれておるのだから、
これに懲りたら、少しは自愛せぃ。
ドマの民にとって、それほど士気が上がることもない!
此度の暗殺計画によって、民の志は十分に証明された。
あの方に、もはや首だけご帰還なさるわけにはいかぬと、
詰め寄ってやろうではござらんか!
若には、いよいよ腹をくくってお戻りいただかねば。
捜索には、是非、おぬしも同行されたし!
主君とはすなわち、その国の精神そのもの……
同志たるおぬしにも、見定めてもらいたいのでござる。
確かに、生き別れたのは、北の山中であったが……。
この洞窟が、内陸部の大草原……
アジムステップに繋がっているでござる。
されど、風土も文化も、規模も大きく違うのでござる!
拙者、はじめての経験にござる。
理由は諸説あるが、土地的に占領する利点がないとも、
ここに生きるアウラ・ゼラが厄介すぎて、
割に合わぬからとも言われておるな。
それはお手柄でござるな!
よくぞご無事で、ヒエン様……!
なるほど、そうこられたか!
安心せい、いざとなれば、拙者が刺し違えてでも連れ帰る!
それに見合う力があるか、怪我の癒え具合はどうか、
おいおい試させてもらわねばな!
そう易々と、合戦に参加できるものでござろうか?
なるほど、聞き及んでいた以上に、試練の大地よ。
この交渉、失敗するわけにはいかぬでござるな。
まず父上ではなかろうが、となると……。
テムルン殿は、大忙しでござるな!
はたして、どんな味がするのでござろうな。
3箇所に「家畜の臓物」を仕掛け、
より多くの「オオイタチのスジ肉」を手に入れて戻られたし!
「肥えたオオイタチ」は、ひとけのない場所の方が、
より誘いやすいとのこと……。
加えて、川に水浴びをしにくることもあるそうだぞ。
どれ、おぬしの集めた「オオイタチのスジ肉」の量を、
確認させてもらうでござる!
対して、[player]殿が得た肉は……
8体分でござる!
これは、大差で[player]殿の勝利。
あっぱれでござるな!
►7体
7体分でござる!
これは、僅差で[player]殿の勝利でござるな!
ふぅむ、これは見事に引き分けでござるなぁ。
<チェック漏れ>
►4体
<チェック漏れ>
►3体
半分の3体分でござる!
これは、ヒエン様の勝利でござるな。
拙者たちも一宿一飯の恩恵にあずかろうとは。
終節の合戦、ますます負けられんでござるな。
すっかり癒えているようでござるな。
まこと、丈夫なお方よ。
今更、何の手土産もなしに、先に逝った者を追えませんな。
むしろ、お強くなられたか。
よくぞ、生きておられた…………。
稽古で負けては泣き、母のミナ様に慰められては泣き、
しまいには泣きながら出鱈目に木刀を振り回していた坊主……。
嫌というほどつけさせられましょう。
今は、心腹が知れるくらいが、ちょうどいい。
心機一転、合戦に向け尽力いたそう!
返り討ちにしてやったでござる!
触れがたき神域の気配よ。
幾多の戦場を駆け抜けたものでござる。
老いぼれと案じるには及ばん!
これで全員、合戦への参加資格を得たわけでござるな!
オロニル族では認められていようが、拙者には解せぬ。
かなり荒々しいものでござった。
だが、いずれもよく使いこまれておったぞ。
いざとなったら、リセとともに逃げるのでござるぞ。
しばしのふたり旅、よろしく頼むでござる。
偵察の段取りは、この息苦しい部屋の外で話すとしよう。
主を人質に取られるのは、どうも生きた心地がせぬ。
さっそく、偵察に向かうでござる。
地図によると、ここより南に、
ドタール・カー周辺を一望できる高台があるらしい。
そこで「見わたす」ことからはじめるとするか。
おぬしも、そこらから「見わたす」でござる。
[player]殿、あれを見るでござる!
獣に人が襲われておる……!
まずいぞ、あの様子では、到底逃げ切れぬ!
急ぎ、助けに行くでござる!
だが、もうひとりは……。
拙者が獣を退けたときには、すでに手遅れでござった。
爪を受けた場所が悪く、致命傷となったと見える……。
ゆえあって、強豪と音に聞くドタール族の様子を見に参った。
素直にモル族を名乗ったのは、正解だったでござる。
しかし、サドゥとやらと亡くなった御仁は、同族でござろう?
仲間の亡骸を「捨てておけ」などと言いおって!
ぐぬぬぬ……!
やはり拙者、サドゥとやらの根性が許せぬ!
偵察のついでに、ひとこと物申してやろう。
いざ、「ドタール・カー」に乗り込もうではござらんか!
ゲセルというのは、先ほど亡くなった御仁か?
「戻ってくる」とは、どういうことでござる。
とても勇猛な、猛者の集まり……とかなんとか……。
同じ人物として扱うのか?
そんな……とても信じられぬ!
刹那の間ではあったが、まるで蛇に睨まれた蛙の気分よ。
しかし、生まれ変わりとは……
拙者には理解が及ばぬが、ドタール族にとっては、
まぎれもない真実ということか……?
謎は深まるばかりでござる……。
されど収穫なしに戻るわけにもいかぬ。
ひとまず、ここの者に話を聞いてみるといたそう。
そちらも話を聞いてまわれたでござるか?
ふむ、やはりドタール族は生まれ変わりを信じている。
真偽はともかく、それゆえに死を恐れず戦うのは、
もはや疑う余地もござらん。
加えて、彼らの使う武器を見せてもらったが、
明けの玉座で見たものと比べても、
より洗練され、使い手の技量の高さがうかがい知れた。
気がかりなことといえば……
それだけ心身が鍛練された戦士を有しておきながら、
集落が小さく、栄えていないことでござるが……。
戦場で猛然と戦う彼らと相まみえても、
もはやたじろぐことはなかろう。
だが、肝心のオロニル族に報告することがない!
「終節の合戦」が迫っておるというに、
ドタール・カーは、いたって普通の様相でござる!
せめて、罠か何かを用意しているとわかれば、
偵察の成果として持ち帰れるものを……。
ええい、ままよ!
族長の「サドゥ」に探りを入れてみるでござる!
さては、事前に戦支度を隠しておったのか!?
それを口先だけにせぬ実力も、あるのでござろう。
しかし、ならばなぜ、ドタール族はこれほど少ない?
モル族を弱小と笑ったが、繁栄の具合はそう変わるまい?
だが、よければ最後に、
ゲセル殿の亡骸の場所を教えてはもらえぬか?
縁あって最期に立ち会ったものとして、
ひとこと弔いの言葉をかけたいのでござる。
つきあわせてすまぬが、戻る前に寄らせてもらうぞ。
何を慰めるわけでもなく……。
ここで幾多のドタール族が、砂に還ったわけだな。
彼らの言う魂の巡りは、とてもすべて信じきれぬが……
なるほど、かように潔く感じる墓場は、はじめてにござる。
またおかしな部族がいたものだと思ったが……
真の在りようを知れば、武士にも通じるものがござる。
しかし、それは死を好ましく思うからではない。
己が死の先に、果たせる大義があると信じるがゆえ。
幕を引くはここぞと知り、心血を燃やし尽くせるは、
まこと命の本懐にござる。
つまるところ、拙者も……
そのような死場を求めているのでござろうな。
主を人質にとられたままとあっては、
死んでも死にきれぬからな!
[player]殿、つきあっていただいてかたじけない。
「明けの玉座」へと戻り、見聞きしたことを伝えるといたそう。
若もリセも、待ちわびているはずでござる!
では、「明けの玉座」に戻るでござる。
事実それしかあらぬのだからな。
「いいから正面きって来やがれ」とな。
敵将の名は、聞くも腹立たしいということでござるか?
だが、まことの戦はこれからか……。
皆、不安はあれど、戦う意志を固めたのでござろう。
ドタール族が魂を輝かせるなら、
拙者はこの刀を閃かせて応じよう!
一騎当千の働き、ご覧にいれよう!
忠節のゴウセツ
ここは拙者に任せ、先へ行けッ!
忠節のゴウセツ
もうひと押し、たたみかけるのだ!
忠節のゴウセツ
まことに草原のアウラ族を従えるとは、
ユウギリも、さぞ目を輝かせることでござろうな。
遠からぬうちに、またお目にかかりたいものよ。
あの者らは、きっとおぬしを目指すことでござろう。
モル族なくては、アウラ族の協力を得られなかったばかりか、
若の命さえ危うかったかもしれぬ。
改めて、ドマの民として、お礼申し上げる。
そして、これからもよろしく頼むでござる!
……いや、案じるまでもござらんか。
サドゥ殿、そちらの様子はどうか?
……互いに、悔いなく戦い抜こうぞ。
さあ、これより、満を持しての帰還でござる!
大腕を振って、よい報せを持ち帰るでござる。
なるほど……この辺りに出るのでござるな。
であれば、目指す「烈士庵」は南の方角でござる。
どれ、拙者が先に行って、門兵と皆に若の帰還を告げておこう。
是が非でも勝機を逃すことのないよう、
同志たちを徹底的に鍛えるでござる!
今は敵陣なれど、ドマ城は取り戻すべき祖国の象徴。
それを水に沈めるとは、何ゆえにござるか!
城に格別な想いがあったのは、誰よりも、若と父上でござろう。
あとはよく休養し、作戦にそなえるのがよかろう。
おぬしも、忙しくあちこちを走り回っていたようだが、
心身の備えは万全でござるか?
ついに決戦だ、悔いなきように迎えねばな。
おぬしにも注意を促さねばと、思っておったところでござる。
ただ、いよいよ決戦かと思えば、これまでの苦労が思い出され、
あれやこれやと口を出さずにはおられんのです。
この人生において、二度も大きな失態を犯したのでござる。
力及ばず帝国に敗れ、主君を幽閉の憂き目にあわせたこと。
拙者も監獄に繋がれ、死して詫びることばかり考えておった。
しかし、カイエン様は、やっと許された面会の機会に、
あろうことか拙者を呼んだのでござる……。
そして、生まれてくる息子……
シュン坊のために生きよと、命じられた。
先の反乱でカイエン様を討たれ、
お守りすると誓ったヒエン様さえ、失くしかけたのだ……。
まっこと……
拙者ばかりがおめおめと生きながらえ、
なんと厚顔無恥であろうか。
こうして再び、大義のための出陣と相成った。
すべての念を刀にのせ、いざ参らん!
心はカッカと燃え、修羅とならんと叫んでおるわ……!
ならば皆、呵呵大笑して戻らねばなるまいな。
この戦を、すべての終わりにはさせられぬ。
拙者も今度こそ悔いを残さず、
晴れ晴れと勝ち誇ってみせるでござる。
さらに崩壊が進めば、さすがに拙者も支えきれぬゆえ。
まずは若と、英雄殿の安全が第一でござろうが。
拙者のことは、あとでどうとでもなる。
拙者、しぶといのが、何よりの取り柄にござる!
すぐに脱出なされよ!
そして、勝利の報せを、国中の皆に届けてくだされ!
ガッハッハ、感謝したいのはこちらでござる!
おぬしらとともに歩んだからこそ、ここに至り、
拙者もようやっと本懐を遂げられる!
►駄目だ!
お心遣い、深く感謝いたす。
だがな、拙者は今、かつてないほど晴れ晴れとしておる。
この道が正しいと、迷いなく信じている証にござる!
此度の勝負、結果は………………
????
まったく、糧を得るのも楽ではござらんなぁ……。
????
その証拠に、腹がすく……。
やっと悟った死場まで、気合で乗り越えんでもよかろうに。
天はまだ、拙者に成すべきことがあるとでも申すか?
しかも、よりにもよって、こやつも一緒とは…………。
急ごしらえしたイカダでの海越え……。
どうにか気合いで成し遂げてみたものの、
銭がなければ、装いを正すこともできんとは……。
これだから、人情のない商人の街は気に入らぬのだ。
刀を質に入れてまで用立てた金子なのだとあれほど……!
主君の沙汰を仰がねばなるまい!
次は紅玉海を渡る船を探すでござる!
助太刀、深く感謝いたす。
まさかおぬしらが現れようとは、なんたる天運!
この者らは、みな拙者の仲間でござる。
知ってのとおり、拙者たちはドマ城の崩落に巻き込まれた。
しかし、何の因果か床が抜け落ちたようでな……。
ふたりそろって濁流に呑まれ、無二江へ流されたのでござる。
そして、幸いなことに、ドマ城の残骸が、
拙者たちを水底から救い上げた……。
だが、気付いたときには下流も下流、河口まで流されておってな。
そのまま海に出て潮に乗せられ、名も無き孤島へと、
漂着することになったのでござる。
ヒエン様の一太刀で死んでおったでござろう。
すべてを忘れ、童のように成りはてておってな……。
斬るべきかと悩みもな……。
どちらの悪運かは知らぬが、
連れ帰って主君の沙汰を仰ぐべきと思い直したのでござる。
それだけの話でござる。
ここからの道中は安心でござるな。
武士の魂たる刀を手放すのは、まさに断腸の思いであった。
まこと、かたじけない……!
ただ、彼女らは確かに、拙者が心から信頼する仲間でござる。
ゴウセツ、只今、帰参つかまつりました。
立場が逆になり申したな。
いかにすべきか、若の沙汰を仰ごうと連れ帰った次第……。
おとなしくユウギリの言うことを聞くでござる。
代わりの者に見張りを頼んでおいたでござる。
しかし、責任者不在というのは、いかがなものか……。
ヨツユを隠す場所はしっかりと用意するべき。
はやくジフヤを見つけねばならぬでござるな。
まずは訳を聞かせてはもらえぬか?
ヒエン様には拙者から、よきように伝えておくでござる。
追って、おぬしには別の役回りが与えられよう。
これもまた、是非もないことなのでござろうか。
では、拙者はヨツユのもとへ向かうでござる。
ヒエン様、くれぐれもご無事で……。
罪とは、いずこにあるのでござろうか。
手下に命じて罪を犯させた、黒幕を裁くことはできませぬ。
では、悪事を成そうと考えた人の心にこそ、罪があるのか……。
だとすれば、すでに砕け散り、己もわからぬ心に、
罪はありやなしや……。
ただ、ようやく得たと思った死に場さえ失った身なれば、
なぜ生き残ったのかと、天命を問いたくもなりましてな。
記憶を奪ったのか……拙者には皆目わかりませぬ。
少々、時間が経ちすぎてはござらぬか?
やはり、拙者が様子を……。
この方とお会いして、何か感じるものはあったか……?
そんなことをせんでも、自分で食えるでござる。
そろそろナマイ村の柿が色付く頃……。
あの甘柿を、口いっぱい頬張りたいものでござる。
それに少しばかり疲れが出ただけのこと。
気合で、すぐにでも元通りにしてみせるわ!
傷痕など珍しくもない……。
年寄り扱いしおって!
拙者に柿をひとつ剥いてくれたのでござるが、
その間、なにひとつ話そうとはしませなんだ……。
今は疲れたので寝ると別室に……
いったい何があったのでござるか?
ゴウセツの幻影
ゴウセツの幻影
生きねば償いも、恩返しもできぬのだから!
若のお役に立つことも難しいでしょうからな。
頭を丸めて僧となり、旅をしながら、
すべての犠牲者たちの魂を供養して回ろうかと、
思い立ったのでござる。
ハッハッハッ!
かように晴れ晴れと送り出してもらえれば、
拙者の足取りも軽くなろうというものでござる。
►行くな
<チェック漏れ>
断りなく頭を丸めましたのは、
このゴウセツ、最後のわがままとお受け入れくだされ。
彼の者の手向けにもなりましょう……。