えおろーぐ

ひぃっ！
だ、誰だ……！！

君、スリザーバウから来てくれたのか？
もしかして、ヴァルソンが心配して……？

獣に襲われてね……毒爪で少し引っかかれてさ。
おかげで身体が痺れていて、目も霞んでよく見えないんだ。
なんとか木の根元まで、這ってきたけど……。
いつも携帯してる解毒剤さえ飲めたらマシになるんだけど、
逃げる途中で落としたみたいでさ。
近くに「夜の解毒薬」がないか、探してもらえないか？

この近くに「夜の解毒薬」がないか、探してもらえないか？

……さっきの君かい？
「夜の解毒薬」、見つかったか？

ふぅ、毒のほてりが引いていくよ……。
少し休めばよくなるはずだ、迷惑かけてすまないな。

置き去りにした大事なものを、どうしても探しに来たかったんだ。
ずっと、あの日からずっと……。

大事なものを、探しに来たんだ。
父さんが大切にしてた……「形見の剣」だよ。

父さんは、ゴーンの砦を守る衛士だった。
砦が襲われたときも、その剣で罪喰いに向かっていったんだ。
混乱のなか、必死に戦って……そして死んだ。

生き延びた理由を……ずっと考えてた。
罪喰いも去った故郷に、足も向けられずにいるくせにさ。
父さんが最後まで握ってた剣すら、野ざらしにしたまま……
こんなの、勇敢だった父さんに顔向けできないだろってね。

ああ、そうさ！
でも結局は罪喰いどころか、獣からも逃げ出して……！

情けないが……ここでしばらく休んでるよ。

父さんの「形見の剣」……持ち帰ってやりたいんだ。

本当に見つけてくれたんだな……。
ありがとう、父さんに再会できた気がするよ。

父さんの剣……本当に戻ってくるなんて、夢みたいだよ。

ああ、本当にありがとう。
……実は面倒ついでに、もう一つ頼みがあるんだ。

少しでも砦に侵入する獣を減らしたくて、
ここに来る前に、手製の罠を作ってきたんだ。
毒性のあるコウチャダケの胞子と蛇毒を煮詰めたものを、
肉食獣が好む腐った魚肉に、たっぷり染み込ませた。
もう匂いだけで、どうにかなっちゃいそうな代物さ！

とにかく！
この「特製の毒餌」を、砦の入口に置こうと思うんだ。
僕らは西側に行くから、あなたは東側に仕掛けてきてくれ。

済ませてくれたかい？
僕らも終わったところだよ。

ふたりには迷惑かけたな……。
本当にすまなかったよ。

そうだね……。
父さんの背中は、まだずっと遠いや。

どうしてあんな廃墟を守ろうとするのか、
不思議に思わせたかもしれないね。

どんな姿になったって僕らの故郷だ。
いつか……僕はあの砦を、再建してみせる。
だからそれまで、獣の巣窟にするわけにはいかないよ。

いつか建て直したゴーンの砦に、きっと訪ねてきてくれよ。
そのときは最高の歓迎をするからさ！