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ヴァウスリーに、軍を仕向けるほどのやる気が残っていたとは。
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まったく……これじゃ計画の練りなおしだ。
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いったいどうやって、原初世界の英雄を呼び寄せた?
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殺し合う以外の道もある……か?
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英雄様ともあろうものが、ずいぶん時間がかかったじゃないか。
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説明の手間が省けていい。
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同時に、その他もろもろ戦乱呼ぶ国々の立役者……。
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きれいさっぱり、実に健全な有様だ!
いやもう、本当に……本っ当に…………
勘弁してくれ、どれだけ世界統合が遠のいたと思ってるんだ。
第一世界は光……すなわち停滞に偏ってたんだ。
あと一息! そう、実にいい調子だった。
世界統合を果たすには、少しばかり偏りが足りなかったのさ。
それでも、ヴァウスリーのもとで、
人々が怠惰に、進歩せず、ぼんやりと生きてくれれば、
じき条件が整うはずだったのに……。
私たちの計画、全部パー!
これだから、お前たちを直接相手にするのは厭なんだ……。
お前たちを殺しにかかるという策は考えたさ。
だが、そいつはラハブレアの爺さんがやってたことと同じだ。
先人の失敗からは、学ぶべきだろう?
必要であれば、知恵も力も、もちろん貸そう。
だが、なぜそれを望むのか、お前たちは知らないだろう?
互いを知らないまま殴り合い続けることほど、
野蛮で不毛なこともあるまい。
一度くらいは、冷静に歩み寄ってみるべきじゃないか?
やる気さえあれば、計画は何度でも立て直せる。
当世の英雄が、何を願い、何を為し……
本当に私たちと相いれないのか。
謂れも知らず忌み続けてきた、私たちアシエンに。
わかりあって手を取り合う道も、あるかもしれないぞ?
同胞を消滅させた英雄の前だからな。
恐ろしくて、つい保険をかけてしまった。
だが、「次回は」注意するとしよう。
またすぐに会おうと、予告しておいただろうが。
約束どおり、私はお前たちの邪魔をしない。
さっそく見物にきただけだ。
水晶公とやらへの興味も、なきにしもあらずだが。
まずは互いに様子見だと言っただろう?
その末に、お前を取るに足るものと認めたら、
改めて手を差し伸べよう……。
そしたら、いつものとおり殺し合うだけだ。
……簡単だろう?
日ごろの行いが祟っている……。
今はただ覚えておけ。
私はいつでも、真実の淵から語りかける。
不滅なる古き者、アシエンのみが知り得る理を、隠すことなく。
見ている私が、退屈で寝ないくらいにはな。
行って滅せよ、平らげよ!
ソルをやってたころは、こうしてよく旅したものだ。
おお、げに偉大なる、我がガレマール帝国!
見物してるだけなんだから、いちいち目くじらを立てるな。
それとも、影からコソコソ見られたいのか?
わざわざ姿を現してやってるのが善意だと、なぜわからない。
ただし、戦力としては期待するな。
本質は、ほかと同じく光に支配された地だ。
闇の使徒たるアシエンとしては、いるだけでそこそこ不快。
ここで戦うなんて、絶対に厭だね。
面倒だな、好きに進めと言っているだろうに……。
しかしまあ、お前がアシエンに興味を持つのは悪くない傾向だ。
どれ、質問のひとつくらいなら、答えないでもないぞ?
私たちアシエンは、いわば水……
肉体というのは、入れ替え可能な器にすぎない。
そして、奪い取った肉体を、そのままの形で使う奴もいれば、
再創造して、己の好きに作り変える奴もいる……。
私は、仕事で変えざるを得ないタイミングがくるまでは、
極力同じ容姿を使い続けるようにしているからな。
この世界の「適当な誰か」を、使い慣れたソルに変えたわけだ。
対して、器にほとんど調整をほどこさなかったのが、
お前たちが殺したラハブレアだ。
いやぁ……あれだけ姿かたちを変えると、
普通、自己ってものが崩れてくるものなんだがな……
よくやったもんだよ、あの爺さん。
さてはあれか? 沈黙に耐えられないタイプか。
面倒な英雄様め……。
とっとと話を進めたらどうだ。
そして私は、戦力になるわけじゃない。
つまり、始終連れ立って歩くのは無意味な行為と言える。
加えて本音を言うと……早々で申し訳ないが面倒になってきた。
昼寝によさそうな木の上に移動したい、うんそうしよう。
ここの狩人たちを、少々甘く見すぎていた。
案外、逃げる隙がない。
遺跡に入るところまでは見ていたが、
中でそんなことになってたわけか。
事実をボカせば蘇るわけでもあるまいし。
さっき、一瞬だけ地脈が揺らいだと思ったが、
気のせいじゃなかったか。
多分、入っただけで出ちゃいないな……。
まだ地脈をさまよってるんじゃないか?
敵ではないと示せる、いい機会だ。
まずは、引き揚げに足る、
太い地脈が流れている場所を探す必要がある。
私の魔力でできている「標の灯火」だ。
これが大きく揺れる場所ほど、地脈が太い。
揺れを頼りに、ここぞという場所を探し出せ。
面倒だが、私から出向いてやるとしよう。
「標の灯火」は、太い地脈のそばほど、大きく揺らぐ。
ここぞという場所を探しあてるんだ。
それじゃ、少し下がってろ。
いずれは反目しあい、互いを裏切るかもしれない。
なあ、そう思うだろう?
お前たちときたら、いまだにそんなことの繰り返しだものな。
そしてそれが覆る瞬間も、飽きるほど見てるぞ。
「ソル」をしていたときだって、何度もな……。
それはずいぶん都合のいい解釈をしているな。
なぜって、必要だからだ……争いは進化を促し、野望を生み、
その果てに大抵だれかがやらかして、霊災が起きる……。
しかし、私たちが撒いた種に、
黒い感情を注いで育て、花を咲かせたのは……
いつだって、お前たちだったよ。
今の言葉を黙って受け止めることが、
此度の私の助力に対する、謝礼だとでも思っておけ。
ファノヴの里だったか……歩くのは厭だな……。
それよりも、戦力はそろったんだ、
とっとと大罪喰い討伐に乗り出すがいい。
戦力としては期待するなと、最初に言っておいただろう。
だが、まあ、英雄殿に声をかけていただいた記念だ。
何か質問があるなら答えるが……どうする?
別に複数で押しかけちゃならない決まりもないんだが、
最近は人員不足で空位の「座」も多くてな……おお世知辛い。
私たちの活動に、堅苦しい決まりはない。
最初のころは世界ごとに担当がしっかりあったんだが、
まー……はりきったイゲオルムが、やりすぎたからなぁ……。
昨今では、必要に応じて手を組むし、
ひとりでコツコツやりたければそれで……という気風だ。
お前のところにだって、ペアで現れた奴もいただろう?
ああ、ペアといえば……
長らく第一世界で活動していたのは、
ミトロンとアログリフという、仲のいいふたりだった。
結果、そろって100年前の「光の戦士たち」にやられたけどな。
まあ、どちらも転生組だから、
やろうと思えば替えがきくわけだが……。
……そのあたりは、またいずれ話してやろう。
お前が、私に声をかけるのを、ゆめゆめ忘れずにいたならな?
お前が大罪喰いを倒してくるのを、
私なりに、待ちわびているんだぞ……?
おかげで存外に歩かされた……。
やはりあと数体倒さないと、なんとも言えないか。
約束どおり手を貸して、約束どおり見ているだけだ。
それじゃあ、私は帰る。
お前たちも、さっさと帰って次に進むことだな。
すべての命も14に分かたれ、
それぞれの世界で、別の存在として生まれ変わった。
そうして、本来の世界を知る者はいなくなった。
……が、人はときに夢として、その光景を垣間見たのさ。
昔は大層ふしぎがられて、絵に描かれたり唄にされたり、
まあ、いろいろ扱われたものだ。
こんなところで、またお目にかかるとはな。
そこには栄えた文明があり、多くの命が生きていた。
しかし、理が乱れ、未曽有の災厄が発生。
文明は、命は、危機に立たされた。
星の新たな理を紡ぐもの……「星の意志」を生み出した。
名は、ゾディアーク。
それによって、災厄は鎮められた。
ゾディアークという強大な力を巡って、人の意見は割れた。
それを封じるべきとする者によって、
枷となるもの……ハイデリンが生み出された。
結果は、ハイデリンの辛勝……。
ハイデリンが放った渾身の一撃で世界は分かたれ、
ゾディアークもまた、分断されて封印された。
信じるかどうかは勝手にしてくれ。
ハイデリンの言い分は、どうせ違うだろうしな。
あれは、この星にもとよりいた神なんかじゃない。
かつての人によって創られた、星の意志。
お前たちにわかりやすいように言うとだな……
私とは、アシエンとは何者か……。
つまり、分かたれる以前の世界の人だよ。
道理で「光の巫女」の生まれ変わりにしては、凡庸だと思った。
すべての力を引き出すには、
完全な一体化を果たさなければならない……。
結果、残ることができるのは、
本来の「光の巫女」の人格か、肉体を提供している者の人格か、
ふたつにひとつ……というところだろう?
だがその言い方だと、お前は関係者なんだろう?
少なくとも、自分ではそう思ってるはずだ。
きちんと話し合っておくべきだったな。
なぜ今の今まで黙っていた?
その娘の提案は、それなりに可能性があると思うぞ。
諸々手っ取り早くなるところが、非常に高得点だ。
次に目指すは、アム・アレーンの南端、
「廃都ナバスアレン」で決まりだな?
とっととアム・アレーンに行って、
本物の「光の巫女」でもなんでも、呼び覚ましてこい。
それとも……光を追い求めるにあたって、
闇の異形者たる私に聞いておきたいことでも?
私たちオリジナルのアシエンは、わかたれる前の世界の「人」だ。
そしてゾディアークは、私たちに創られた存在である、とな。
現代の人は、神降ろしをしたり、
蛮神のエネルギーを身に受けることで、
強制的な同調……テンパード状態になるだろう?
実のところ、私たちにも、同じことは起きている。
精神への干渉こそ、いくらかは防げるが、
あれほどの存在を顕現させれば、どうしても引っ張られるのさ。
結果、アシエンはゾディアークの有する力……
「闇」とも呼ばれる、活性と激化の力に寄った存在に、
ならざるを得なかったわけだ。
そんな我々の、たゆまぬ活動のせいもあってか、
闇と悪を同義に語る者も少なくない……
が、それは実に無知で愚かな判断だと言えるだろう。
……以上、こんなところでサラリと大事な話をする、
私、アシエン・エメトセルクなのだった……。
いや、だって最初にきちんと宣言しただろう?
聞く耳を持てば、真実を語ろう……と。
ならば、こうしてわざわざ問いかけにきたお前にこそ、
語られる事実があるべきだ。
いいだろう、今回はちょうど、
昼寝でもしながら留守を任されようと思っていたところだ。
大森林で、おおまかな具合は把握した。
あとは見るべきときに見ればいい。
あんな場所に同行するのはごめんだ……。
眠りはいいぞ、実に快適な時間のやり過ごし方だ……。
ころころ体を変えて働き続けてたが、
あれじゃ擦り切れるってものだ。
どこかで存分に寝溜めでもしたかね。
私が連中に接触したとき、なぜ警告のひとつも挟まなかった?
まるで旧知のような言い方じゃないか。
アラグ帝国の建国と繁栄にも、一役買った。
だからこそわかる。
お前が使った英雄の召喚術は、塔に備わっていた機能ではない。
アシエンですら成しえていない技だぞ?
それは世界の救済なんかじゃない。
ほんのわずかに、長らえさせるだけの行為だ。
こうして内側から見るとよくわかる……。
誰かが頑張れば救われるというときに、その「誰か」になれる。
この一瞬、目の前のものを救おうとするだけとは……。
ひ弱で短命な生物では、やはりそこが限界か?
お前たちが、それを捨てたまま歩んできただけだ。
使わせてもらうとしよう。
恐怖と絶望が形を成し、地表を混沌があまねく覆った。
そこで人々は、ゾディアークという「星の意志」を創ることで、
秩序と平穏を取り戻した。
強大なゾディアークを残しておくべきではないと語る者が現れ、
枷としてハイデリンを創りだした。
問題はその、ハイデリンの一撃だ。
力を削ぎ落すことに関して、破格の能力を持つ。
……存在そのものを切り刻むという、離れ業だった。
すると、お前が2人に分かたれる。
しかし、ひとつひとつを構成する要素は薄くなっている……
力も、知能も、魂も、なにもかも半分ずつだ。
ゾディアークを含め、この星全体に起きた。
オリジナルのアシエンたる、私たちだけだ。
しかも、その不完全な状態のまま、
それぞれに固有の歴史を歩みはじめたじゃないか。
得体の知れない「なりそこない」が蠢いている状態だぞ?
不気味でないわけがない。
強引に遂げようとした第十三世界は、壊れてゴミに。
お前たちの言う、ヴォイドの誕生だ。
属性を均一にしようとする力の流れを発見したことで、
今の方式が確立されたというわけだ。
霊災よりも酷な悲劇を生み続けてるだろうに。
犠牲も何も、統合されていない不完全な命を、
私は到底「生きている」とは思えない。
だからこそ、私はお前に期待してるんだ。
中でもとくに優れた英雄なら、少しはマシかもしれない。
今ひとときの痛みに耐えてでも、より悲劇の少ない道を選べる、
そんな強さを持つ相手を。
お前たちは弱くない……そう証を立てることが、
この話を続ける最低条件だ。
まだ私から聞きたいことでも?
その話をするなら、恐らくお前たちがしているであろう、
勘違いを正すところからだな……。
エリディブス、ラハブレア、イゲオルム、ナプリアレス……
それらアシエンの名は、いわゆる「本名」ではない。
とある職責を司る「座」の名前だ。
とすれば、当然、別人が継承することもできる。
これだけ長く活動していれば、当然脱落した奴もいるが、
そのときは、誰かをその「座」に就ければいいという話だ。
それが顕著なのが転生組だな。
彼らは……彼らのもととなった人物は、ハイデリンの一撃で、
魂ごと14に分断されてしまった……。
努めてポジティブに言えば、14人の候補が誕生したわけだ。
それの中からいずれかを、私たちオリジナルが引き上げ、
使命と力を取り戻させて「座」に就ける。
まあ、縁も由来もない奴を就任させることもできなくはないが、
ゾディアークの召喚者たる我々は、魂すら奴に浸食されている。
……最初から染まった魂の方が、失敗しないというわけだ。
そうだな、新しいアシエンを任命できる者がいなくなり、
我々は消えゆくだけの存在になるだろう。
……「なりそこない」の命に、それができればの話だが。
まあ、いつかときが来て、お前はそれを知るかもしれないし、
知らないまま終わるかも……だ。
私も、気が向いたらまた、出向いてやろう。
これはまた、ずいぶんと勢いよく掌を返したな。
そんな相手との決着のつけ方を、知ってるか?
アラグでもガレマールでも、結局大勢はそれを支持したし、
事実、手っ取り早く繁栄をもたらした。
敗者もまた尊重され、ある種の和解に至ることがある。
そういう決着にもっていくのは、とても難しい……。
勝者が敗者を見下さず、憐れまず、敗者が勝者を仇としない。
その両方が必要だからだ。
簡単な方に転がると思ったんだがな……まさかこうなるとは。
同志が集うと活気づくのは、私たちの時代から変わらないな。
心外だ、お前たちが持ち得る感情を、
私たちが有していないわけがないだろう!
太古の昔、真なる世界に……家族も、友も、恋人だって。
真なる人は頑強な魂を持ち、ほとんど永遠の時を生きられた。
だから、余裕のなさから生じる、さもしい争いをしなかった。
ときに異なる意見を持ったとしても、同じ分だけ認め合えた。
高い塔のさらに上、遥かな空から日差しと風が注いでいた。
言ったところで、思い出すわけもないか。
この仕様もない世界で戦ってきたお前こそ、
案外、気に入ると思うぞ。
お前は連中と違って、原初世界の住人……
統合される側ではなく、受け取る側の器だ。
すべての霊災を生き抜けば、私たちに近しい存在になり、
満ちた世界で暮らすことができる。
今はただ、お前の勝敗を見届けるとしよう。
あのフードなしに、素顔で話したことは?
これはどう取るべきか……。
まあ、謎解きの参考にさせてもらうとしよう。
では、またな。
????
あなたは大変よくやっているのに、周りが馬鹿ばかりで困る。
黒法衣の男
しかし、内密な提案がございまして。
黒法衣の男
そのために、お命じいただければ、
近隣にいる大罪喰いを捕らえて参りましょう。
そいつと、あなたの奥方様が宿している胎児を使って、
絶対の王を作るのです。
さすれば王の父として、あなたの立場も盤石となりましょう。
黒法衣の男
それによって、人は戦うことをやめ、進歩を捨て、
光とともに停滞に沈む……。
実に結構でございます。
光に満ちた世界こそ、私どもの……アシエンの望みなれば。
紅い眼を持つアラグの血族だけ。
そしてそれは、第一世界には存在しえないものだ。
何を大それたことを企んでいるのかと思ったが……
まったく、馬鹿すぎて恐れ入る。
私たちの計画だ。
水晶公は、まだ息があるはずだ……が、
それもお前たち次第だぞ?
そう思っていたのに、なんだそのザマは?
化け物になりかけているじゃないか。
それじゃ、交渉する価値もない。
今の「なりそこない」の人類には、その程度が限界か。
世界統合のために、あれこれ画策するのが仕事だ。
当時の英雄たちを利用して光を高める策を、
同胞アログリフに授けた。
それで片がつかなかったので、
次の策として、ヴァウスリーを造りだしたわけだ。
あれは本当だ、何ひとつ嘘はついていない。
今の人類の精神性や強さ、可能性を知るための。
だから興味があったのは事実、教えたことも事実。
結果によっては、味方として取り込むに値するとも思っていた。
こいつがすべての光を飲み込んだ上で、
それを自在に制御できるようになることだった。
手を取るほどの強者とは、認められない。
ため込まれた光が放出されて、少なくとも、
すべての罪喰いを倒す前の状態には戻せる。
こいつの行動には、少しばかり焦らされた。
中身はもうほとんど罪喰いみたいなものだな。
これからは、いるだけで世界を光に包み込む。
寄り添ってきた相手を罪喰いに変えるかもしれないし、
正常なエーテルを喰らいたくて、
無辜の人々を襲うようになるかもしれない。
だが……その強さを目にして、すぐに絶望する!
「勝てるわけがない……私たちはもうおしまいだ……。
人はもう、何をしても無駄なのだ!」
皮肉だなぁ……
ヴァウスリーが幸福によって成し遂げようとしていた停滞を、
お前が、絶望によって成し遂げるんだ。
私はそろそろ、おいとまするとしよう。
結局、何かが変わるほどの収穫は得られなかったんだ。
これくらいの土産はもらっていくさ。
あいつが英雄様のために蓄えてきた知識と技術には、
大変興味がある。
そうなっては、もはや殺し合うしかない敵だ。
私のもとに来るがいい。
せめて嗤って、すべてを見届けてやろう。
その暗がりに、私の根城がある……。
厳粛な場だ、規約は守っていただかないと。
私が招いたのは、世界を堕とす化け物になったお前だ。
水際で力を抑え込んでいる状態では、何の役にも立ちやしない。
どうせ敵になると忠告しただろう……そんなに寂しいかね。
余計な泡でも混じっていたか。
私たちの本懐は、まさにそのとおりだ。
力を取り戻したゾディアークが、封印を破って復活する。
引き換えに、かつてゾディアークに身を捧げた同胞たちを、
取り戻すのだ。
お前は、いったい何をしに来た?
あれの有している知識と術は、ともすれば、
私たちにも革新をもたらすかもしれない。
世界と……恐らく、時間の跳躍。
「なりそこない」の身で、よくもまあ形にできたものだ。
アシエンの新たな力として……世界統合のために。
やっぱり、ちっともわかっていない。
古代人のために犠牲にされるのは、不当だと?
ほかの誰よりも長く、お前たちに交じって生きてきた!
ともに飯を食らい、戦い、患い、老いもした。
傍らで死を見送り、ときには子を成したことさえある。
お前たちは愚かで、弱く、
この星を護って生きていくには足りないと!
散々思い知ったばかりだろう?
その命の脆さと……ゆえに生まれ続ける悲しみを……!
どれだけうんざりさせたら気が済むんだ!
今の人類は、半数が進んで自らを犠牲にできるのか?
できるだなんて言えないはずだ!
世界は……私たちのものだ。
お前たちのような「なりそこない」より、
生きるべきは、完全なる者だ……。
お前たちが私たちよりも強く、残るべき存在であると。
私たちの時代の終わりにして、我が執念のはじまり。
お前たちを測るため、
今ひとたびの、再演といこうじゃないか。
預かっている強情なお友達が、苦痛で壊れる前に来いよ?
アシエン・エメトセルクの声
アシエン・エメトセルクの声
アシエン・エメトセルクの声
アシエン・エメトセルクの声
アシエン・エメトセルクの声
アシエン・エメトセルクの声
アシエン・エメトセルクの声
アシエン・エメトセルクの声
アシエン・エメトセルクの声
アシエン・エメトセルクの声
アシエン・エメトセルクの声
アシエン・エメトセルクの声
アシエン・エメトセルクの声
アシエン・エメトセルクの声
アシエン・エメトセルクの声
アシエン・エメトセルクの声
アシエン・エメトセルクの声
アシエン・エメトセルクの声
アシエン・エメトセルクの声
アシエン・エメトセルクの声
アシエン・エメトセルクの声
やはりまだ、私たちには及ばない。
なりそこないの中では、相当「まとも」なお前たちでさえ、
私が本来の力を使えば……このざまだ。
真なる世界と、今の世界の差だと知るんだな。
真なる世界を知る者からすれば、唾棄すべきまがいものだ。
……馬鹿馬鹿しい、お前たちなんて満足な命も持たないくせに。
お前たちの歴史は、どこに繋がることもない……。
今さらそんな風に抗って、何になる?
お前はもう戦えない……戦う目的がない……。
お前の冒険は、ここで終わる。
化け物になり果てるがいい!
お前が喰らいつくすのだ!
お前、何故そこに……!?
ただのなりそこないだ……!
それが独り立ち上がったところで何になる……!
愚かな、死んでもおかしくなかったはずだ!
どいつもこいつも、あきらめの悪い……!
そこまでして望むなら、最後の裁定だ!
この星の物語における悪役がどちらか、決めようじゃないか!
冥きに眠る同胞がため、世界を奪い返す者なり!
ハーデス
私もまた あるべき姿で 迎え撃ってやろう ━━
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
が、その強き想いを踏み砕いてこその勝利か……!
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
拝せよ、弱き命ども!
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
その輝きを、覆い尽くしてくれよう……!
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
ハーデス
いまだにこの胸を焼き続ける無念は……ッ!
ハーデス