劇場艇プリマビスタ・大道具部屋
若くして劇団を立ち上げたジェノミスはその才能を認められ、
あっという間に演劇界のホープとして人気となった。
戯曲のいくつかは文壇で認められ賞をもらったほどさ。
数々の戯曲を発表し、自らが演出を手がける舞台は大人気。
チケットをもっとも取りにくい劇団と言われたこともある。
事実、1年先までソールドアウトなんてことはザラだった。
前皇帝ソル・ゾス・ガルヴァスもその天賦の才能を認めて、
この劇場艇を建造し、プレゼントしたのはビックリさ。
現皇帝はそれも面白くないようだがな。
ジェノミスは完璧主義者でな、理想の戯曲に仕上げるまで、
幾度も書き直すなんてことはいつものことだ。
遅筆すぎて舞台稽古が遅れることもよくあるんだ。
理想のために皇帝にも逆らうほどの気骨の持ち主……なんて、
皆は評しているようだが、ジェノミスはただの作家馬鹿さ。
妥協する自分を許せないだけなんだよ。
あっという間に演劇界のホープとして人気となった。
戯曲のいくつかは文壇で認められ賞をもらったほどさ。
数々の戯曲を発表し、自らが演出を手がける舞台は大人気。
チケットをもっとも取りにくい劇団と言われたこともある。
事実、1年先までソールドアウトなんてことはザラだった。
前皇帝ソル・ゾス・ガルヴァスもその天賦の才能を認めて、
この劇場艇を建造し、プレゼントしたのはビックリさ。
現皇帝はそれも面白くないようだがな。
ジェノミスは完璧主義者でな、理想の戯曲に仕上げるまで、
幾度も書き直すなんてことはいつものことだ。
遅筆すぎて舞台稽古が遅れることもよくあるんだ。
理想のために皇帝にも逆らうほどの気骨の持ち主……なんて、
皆は評しているようだが、ジェノミスはただの作家馬鹿さ。
妥協する自分を許せないだけなんだよ。
劇場艇プリマビスタ・大道具部屋
ジェノミスが魔導院時代に仲間と共に結成した劇団だ。
以来、興行した舞台は大成功し、
押しも押されもせぬ人気の劇団へと成長を遂げたんだ。
シリアスな古典劇や笑い満載のコメディ、
歌と踊りが刺激的なミュージカルと、その演目は多彩だ。
「ゾディアックブレイブストーリー」を興行していた頃は、
100人を超える役者や裏方がこの劇場艇で暮らしていたんだがな。
今じゃこの有様さ。
以来、興行した舞台は大成功し、
押しも押されもせぬ人気の劇団へと成長を遂げたんだ。
シリアスな古典劇や笑い満載のコメディ、
歌と踊りが刺激的なミュージカルと、その演目は多彩だ。
「ゾディアックブレイブストーリー」を興行していた頃は、
100人を超える役者や裏方がこの劇場艇で暮らしていたんだがな。
今じゃこの有様さ。
劇場艇プリマビスタ・大道具部屋
ガレアン人の間では子どもでも知っているおとぎ話のような伝説さ。
世界なのか国なのかわからないが、
かつてイヴァリースと呼ばれた処がどこかにあった。
恐ろしい悪魔や魔物、災いが起こると、
12人の光の勇者が現れイヴァリースに平和をもたらすという。
その12人の光の勇者を人々はゾディアックブレイブと呼んだ。
ゾディアックブレイブはその時代ごとに登場するんだが、
占星術師メレンカンプ、聖人アジョラ、暗殺者アシュレイ、
私が知る限り8組はいるが、一番人気は平民王ディリータだ。
アトカーシャ王朝の時代、世継ぎを失ったことにより、
黒獅子公と白獅子公の二手に分かれて後継者戦争が勃発した。
その時、彗星のごとく現れたのがディリータという名の若者だ。
戦渦によってイヴァリースが焦土と化す中、
ディリータは11人の仲間と共に平和を取り戻すために奔走する。
新生ゾディアックブレイブと呼ばれた彼らは見事、実現するんだ。
この英雄譚の歴史性について学者たちが長年にわたり調査、
議論を続けているが、未だに確固たる物的証拠がない。
そのため「史実」としては扱われていないのが現状だ。
イヴァリースがどこにあったのかも不明だし、
物語にバリエーションが多すぎて、
どれが本当でどれが虚構なのか判断することは不可能だ。
もっとも新しい時代のディリータ王の英雄譚ですら諸説ある。
オヴェリア王女と結婚し国を引き継ぐというのが定番だが、
即位の前にディリータは暗殺されたという物語もあるぐらいだ。
まぁ、吟遊詩人が口訣で伝える過程で、
民衆が喜ぶようにとどんどん脚色されていった結果、
こうなってしまったんだろうね。
いずれにしても真相は藪の中。
神のみぞ知るってね。
世界なのか国なのかわからないが、
かつてイヴァリースと呼ばれた処がどこかにあった。
恐ろしい悪魔や魔物、災いが起こると、
12人の光の勇者が現れイヴァリースに平和をもたらすという。
その12人の光の勇者を人々はゾディアックブレイブと呼んだ。
ゾディアックブレイブはその時代ごとに登場するんだが、
占星術師メレンカンプ、聖人アジョラ、暗殺者アシュレイ、
私が知る限り8組はいるが、一番人気は平民王ディリータだ。
アトカーシャ王朝の時代、世継ぎを失ったことにより、
黒獅子公と白獅子公の二手に分かれて後継者戦争が勃発した。
その時、彗星のごとく現れたのがディリータという名の若者だ。
戦渦によってイヴァリースが焦土と化す中、
ディリータは11人の仲間と共に平和を取り戻すために奔走する。
新生ゾディアックブレイブと呼ばれた彼らは見事、実現するんだ。
この英雄譚の歴史性について学者たちが長年にわたり調査、
議論を続けているが、未だに確固たる物的証拠がない。
そのため「史実」としては扱われていないのが現状だ。
イヴァリースがどこにあったのかも不明だし、
物語にバリエーションが多すぎて、
どれが本当でどれが虚構なのか判断することは不可能だ。
もっとも新しい時代のディリータ王の英雄譚ですら諸説ある。
オヴェリア王女と結婚し国を引き継ぐというのが定番だが、
即位の前にディリータは暗殺されたという物語もあるぐらいだ。
まぁ、吟遊詩人が口訣で伝える過程で、
民衆が喜ぶようにとどんどん脚色されていった結果、
こうなってしまったんだろうね。
いずれにしても真相は藪の中。
神のみぞ知るってね。
劇場艇プリマビスタ・大道具部屋
ゾディアックブレイブの伝説をモチーフとした戯曲は、
たくさんあるんだが、ミュージカル仕立ての今作は、
最高傑作と高い評判を得ることができた。
何気にジェノミスはこの伝説を戯曲化することが初めてでね、
以前からいつか戯曲化したいとは聞いていたんだが、
まさかミュージカル仕立てにするとは思ってなかったよ。
作詞は当然だが作曲もジェノミスが手がけていてね、
まさに天才とは彼のような男をいうのだろう。
全編5幕からなる戯曲で、前半3幕は教会の命令で、
暗躍するディリータが、オヴェリアとの出会いにより改心し、
彼女を真の女王にしようと誓うところまで描かれた。
後半2幕は獅子戦争が終結へと向かう中、
その戦功を武器に、遂にオヴェリアとの婚姻を手に入れる。
だが、その恋は悲劇で終わるというラストだな。
周りに嘘をつくことで己が目的を隠すディリータが、
その真意を神に打ち明ける一方、オヴェリアはその嘘に翻弄され、
決別を神に誓うというアンサンブルが実に最高だったねぇ。
たくさんあるんだが、ミュージカル仕立ての今作は、
最高傑作と高い評判を得ることができた。
何気にジェノミスはこの伝説を戯曲化することが初めてでね、
以前からいつか戯曲化したいとは聞いていたんだが、
まさかミュージカル仕立てにするとは思ってなかったよ。
作詞は当然だが作曲もジェノミスが手がけていてね、
まさに天才とは彼のような男をいうのだろう。
全編5幕からなる戯曲で、前半3幕は教会の命令で、
暗躍するディリータが、オヴェリアとの出会いにより改心し、
彼女を真の女王にしようと誓うところまで描かれた。
後半2幕は獅子戦争が終結へと向かう中、
その戦功を武器に、遂にオヴェリアとの婚姻を手に入れる。
だが、その恋は悲劇で終わるというラストだな。
周りに嘘をつくことで己が目的を隠すディリータが、
その真意を神に打ち明ける一方、オヴェリアはその嘘に翻弄され、
決別を神に誓うというアンサンブルが実に最高だったねぇ。
劇場艇プリマビスタ・大道具部屋
東州オサード小大陸ヤンサの南西には広大な砂漠地帯がある。
現在、ダルマスカ砂漠と呼ばれるその地域一帯を、
支配していたのがダルマスカ王国だ。
30年前にガレマール帝国によって断絶されたバナルガン王朝は、
約千年もの間、独立を保っていたというが、
その王都ラバナスタははるか昔から存在した都だといわれている。
「砂漠の蒼い宝石」と謳われたラバナスタも、
帝国との戦争によって破壊され、今はただの廃墟だそうだ。
なんとも嘆かわしい話だな。
最近もドマ、アラミゴの反乱に乗じて蜂起しようという動きが、
ダルマスカ近辺でも見受けられたようだが、
帝国軍はその情報を事前に把握、悉く粛正したとか。
実は子どもの頃、行商を営んでいた父に連れられて一度だけ、
ラバナスタを訪れたことがあるんだ。
その美しさは今でも脳裏に焼き付いているよ。
現在、ダルマスカ砂漠と呼ばれるその地域一帯を、
支配していたのがダルマスカ王国だ。
30年前にガレマール帝国によって断絶されたバナルガン王朝は、
約千年もの間、独立を保っていたというが、
その王都ラバナスタははるか昔から存在した都だといわれている。
「砂漠の蒼い宝石」と謳われたラバナスタも、
帝国との戦争によって破壊され、今はただの廃墟だそうだ。
なんとも嘆かわしい話だな。
最近もドマ、アラミゴの反乱に乗じて蜂起しようという動きが、
ダルマスカ近辺でも見受けられたようだが、
帝国軍はその情報を事前に把握、悉く粛正したとか。
実は子どもの頃、行商を営んでいた父に連れられて一度だけ、
ラバナスタを訪れたことがあるんだ。
その美しさは今でも脳裏に焼き付いているよ。
劇場艇プリマビスタ・大道具部屋
私かい? 私は「マジェスティック」の一員ではないんだがね、
同業者のひとりとしてジェノミスに懇意にしてもらっている者だ。
彼よりも遥かに遅筆なのが玉に瑕でね。
現体制にはいささか考えるところがあってね。
帝国を離れるというので便乗させてもらったというわけさ。
この機会に諸国を見て歩くのも良いだろうと思ってね。
いつかこの放浪を記録し出版でもするつもりさ。
もっとも最近は執筆業より料理を作る方が多いかな。
ただの居候というのも性に合わないのでね。
同業者のひとりとしてジェノミスに懇意にしてもらっている者だ。
彼よりも遥かに遅筆なのが玉に瑕でね。
現体制にはいささか考えるところがあってね。
帝国を離れるというので便乗させてもらったというわけさ。
この機会に諸国を見て歩くのも良いだろうと思ってね。
いつかこの放浪を記録し出版でもするつもりさ。
もっとも最近は執筆業より料理を作る方が多いかな。
ただの居候というのも性に合わないのでね。
劇場艇プリマビスタ・大道具部屋
クガネで出会った吟遊詩人のことかな?
なんとも変わった雰囲気の人物だったな。
詩人というより興行主というか……。
吟遊詩人は口伝で伝えられた物語を唄にして披露してくれるんだが、
彼の場合は彼自身が冒険者に試練を与え、
それに打ち勝った冒険者の魂をエッセンスとして取り入れる……。
そう、まるで世界の創造主的たる独特のオーラを放つ人物だ。
いや、特に根拠はないんだよ、私がそんな風に感じるだけで。
「創造」に関わる者として学ぶべき点が多々あるねぇ。
なんとも変わった雰囲気の人物だったな。
詩人というより興行主というか……。
吟遊詩人は口伝で伝えられた物語を唄にして披露してくれるんだが、
彼の場合は彼自身が冒険者に試練を与え、
それに打ち勝った冒険者の魂をエッセンスとして取り入れる……。
そう、まるで世界の創造主的たる独特のオーラを放つ人物だ。
いや、特に根拠はないんだよ、私がそんな風に感じるだけで。
「創造」に関わる者として学ぶべき点が多々あるねぇ。
劇場艇プリマビスタ・大道具部屋
ガレマール帝国がダルマスカ王国に進攻し、
属州としたのは30年前だ。
ドマ占領の5年前、アラミゴ制圧の10年前だね。
侵攻作戦を指揮したのは、「漆黒の稲妻」と異名を取った、
ノア・ヴァン・ガブラス軍団長が率いる第IV軍団だ。
ダルマスカ王国と約半年にわたり激闘を繰り広げたらしい。
王都ラバナスタを守る最後の砦・ナルビナ城塞では、
ダルマスカ軍に約7万人もの戦死者を出したといわれる、
それは悲惨な攻城戦だったようだ。
ナルビナ城塞でダルマスカ王の子息であるラスラ王子と、
その双子の妹であるアーシェ王女が戦死したことで、
ダルマスカ王は降伏を受け入れたとされている。
降伏後、しばらくしてダルマスカ王は病死。
ダルマスカ王の死亡は自殺とも暗殺とも言われてるが、
千年の歴史を誇るバナルガン王朝が断絶したのは間違いない。
属州としたのは30年前だ。
ドマ占領の5年前、アラミゴ制圧の10年前だね。
侵攻作戦を指揮したのは、「漆黒の稲妻」と異名を取った、
ノア・ヴァン・ガブラス軍団長が率いる第IV軍団だ。
ダルマスカ王国と約半年にわたり激闘を繰り広げたらしい。
王都ラバナスタを守る最後の砦・ナルビナ城塞では、
ダルマスカ軍に約7万人もの戦死者を出したといわれる、
それは悲惨な攻城戦だったようだ。
ナルビナ城塞でダルマスカ王の子息であるラスラ王子と、
その双子の妹であるアーシェ王女が戦死したことで、
ダルマスカ王は降伏を受け入れたとされている。
降伏後、しばらくしてダルマスカ王は病死。
ダルマスカ王の死亡は自殺とも暗殺とも言われてるが、
千年の歴史を誇るバナルガン王朝が断絶したのは間違いない。
劇場艇プリマビスタ・大道具部屋
アラミゴやドマもそうだが、属州では度々反乱が発生する。
ダルマスカ属州でも同様で、これまでの20年間、
幾度となく反乱が発生してきた。
反乱が発生する度に熾烈な粛清が行われるが、
中でも数年前に起きた「バルハイムの反乱」では、
帝国軍も含めて多くの戦死者を出したことで有名だ。
第XIV軍団が援護することになり、苛烈な反逆者狩りをして、
その名を轟かせたのが「ダルマスカの魔女」こと、
リウィア・サス・ユニウスというわけだ。
きみがアラミゴとドマを解放したことで、ダルマスカでも、
再び反乱が発生したが、これも失敗に終わっている。
ラバナスタが戦禍に呑まれたのはその目で確認したはずだ。
ただ、今でも反乱軍を指揮する者たちは大勢いるようで、
地下に潜り、その好機を虎視眈々と狙っているらしいね。
ちなみに、その反乱軍を率いているのは王女アーシェを名乗る、
十代後半の少女だという。
アーシェ本人はナルビナ城塞で戦死したのは確かなので偽者かな?
ダルマスカ属州でも同様で、これまでの20年間、
幾度となく反乱が発生してきた。
反乱が発生する度に熾烈な粛清が行われるが、
中でも数年前に起きた「バルハイムの反乱」では、
帝国軍も含めて多くの戦死者を出したことで有名だ。
第XIV軍団が援護することになり、苛烈な反逆者狩りをして、
その名を轟かせたのが「ダルマスカの魔女」こと、
リウィア・サス・ユニウスというわけだ。
きみがアラミゴとドマを解放したことで、ダルマスカでも、
再び反乱が発生したが、これも失敗に終わっている。
ラバナスタが戦禍に呑まれたのはその目で確認したはずだ。
ただ、今でも反乱軍を指揮する者たちは大勢いるようで、
地下に潜り、その好機を虎視眈々と狙っているらしいね。
ちなみに、その反乱軍を率いているのは王女アーシェを名乗る、
十代後半の少女だという。
アーシェ本人はナルビナ城塞で戦死したのは確かなので偽者かな?