私は、あなたと同じ「超える力」を持つ者。
最初は、幻のように現れる過去の情景を前にして、
その意味すらわからず、怯えさえした。
しかし、5年前にすべてが変わった。
……そう「第七霊災」が起きたのだ。
霊災によりクルザスの環境は激変……。
私の故郷「ファルコンネスト」は、
瞬く間に、雪と氷に閉ざされてしまった。
多くの住民とともに、イシュガルドに避難しようとしたが、
眼前で、大氷壁の一部が崩落……
家族を失った私は、引き返さざるを得なかった。
寒さに追い立てられ、ドラゴン族に襲われる危険を承知で、
西方のドラヴァニアへと逃れたのだ。
そして、かの地で私は出会った。
偉大なる「七大天竜」の一翼、聖竜「フレースヴェルグ」に。
そして、視たのだ……
竜詩戦争の「真実」を!
だからこそ私は、種の融和のため、
この地に満ちた欺瞞と戦っている。
わかっている、わかっているのだ……!
イシュガルドの民がドラゴン族を憎むのは、
彼ら自身に非がないことくらい……。
生まれ落ちたときから、竜を忌むべき存在と教えられ、
目の前で肉親を殺されもすれば、戦うも道理というもの。
だが、ドラゴン族も、また理性的ではいられず、
真の敵を知ってなお、人そのものを憎んでいる……。
私は、聖女でも救い主でもない罪人だ……。
それでも、決して諦めはしない。
因果を根本から断ち切り、融和をもたらしてみせる。
私はすでに、私自身であるだけではなく、
竜を愛した「シヴァ」でもあるのだから……。
同志たちから、報告は受けていた。
どうか、仲間の非礼を許してほしい。
……私を追う理由を、聞かせてもらえるだろうか?
そうか……。
ドラゴン族の進軍を止めるために対話を……。
あなたの決意は、本物なのだな。
しかし、竜と人との対立の根源にある、
隠された真実を知らねば、対話も叶わないだろう。
今こそ語ろう……。
私が視た、真実に触れる「過去」を……。
エレゼン族の一団が、クルザスの地にやってきた。
当初は、ドラゴン族との小競り合いが絶えなかったが、
やがてひとりの乙女が、ふたつの種族の架け橋となる。
……彼女の名は「シヴァ」。
彼女は、高い知性と理性を持つ竜と対話する中で、
「七大天竜」の一翼である聖竜「フレースヴェルグ」と出会い、
種の違いを超えて、かの竜を愛するようになった。
どんなに長く生きようとも、人は100年もすれば死ぬ。
一方で竜は、千年万年の時を生きる……。
シヴァの愛を受け入れたフレースヴェルグも苦悩した。
やがて死が、ふたりを分かつという現実に……。
そして、シヴァは懇願したのだ。
自分を喰らってほしいと……。
魂となって永遠に寄り添うために……。
かくして、シヴァの魂はフレースヴェルグに宿り、
これを知ったドラゴン族と人とは互いを認め、
融和への道を歩んでいった。
しかし、「竜の眼」に満ちた力は人の心を惑わせ、
この蜜月関係は、わずか200年足らずで終焉を迎える。
人は欲望を抑えきれなかった。
自己のために「七大天竜」を騙し討ち……
……その「眼」を奪ったのだ。
「七大天竜」の一翼にして、人の裏切りにより「眼」を失った、
ニーズヘッグとその眷属。
かの竜の目的は、奪われた「眼」の奪還だろう。
それが叶わぬかぎり、対話に応じるとは思えないが……。
……ならば、私もともに行こう。
かつて私が、フレースヴェルグと邂逅した地……
霊峰「ソーム・アル」に抱かれし、竜の領域ドラヴァニア。
かの竜は、その高空に広がる雲海に棲まう。
まさか、あなたとともに旅する日が来ようとはな……。
これだから、運命というものはわからない。
さあ、行こう……。
西方に向かい、谷間を抜けて「高地ドラヴァニア」に入る。
その先が、巨大樹に覆われた「チョコボの森」だ。
西部高地は寒い……森に入るまで休まず進み続けよう。
このまま、さらに西へと進み森を抜ければ、
我らの目的地、霊峰「ソーム・アル」へと続く山道がある。
だが、ソーム・アルの頂に至るまでの道のりは、遠く険しい。
途中にある集落に立ち寄り、
最後の準備を整えようと思うのだが、どうだろうか?
野生のチョコボを狙うため、狩人たちが築いた集落があるのだ。
そこの長である「マルスシャン」とは知人でな……。
彼に頼めば、宿くらい借りられるだろう。
それに、現地の状況について最新の情報にも触れておきたい。
問題ないだろうか?
お元気そうで何よりです。
彼らは、私の旅の同行者たち……。
故あって「ソーム・アル」に向かうつもりなのですが、
この集落で、休息をとらせてもらえませんか?
どうやら、私が暮らしていたころとは、
ドラヴァニアの状況も変わってきているらしい……。
ドラヴァニアに逃れたことは話したな。
あの時、私は道に迷い、森を抜け出てしまったのだ。
偶然、狩りのために山から下りてきていた、
聖竜「フレースヴェルグ」に出会ったのも、その時さ。
七竜との邂逅と過去視で、私は気を失ってしまった……。
そんな私を助けて介抱してくれたのが、マルスシャンなのだ。
以後、私は数年間を、この集落で過ごしたのさ。
元々、縄張り意識が強く、自分たちの領地に入れば、
問答無用で襲ってくるような種族だ。
しかし、縄張りさえ侵さなければ、
物々交換くらいはできる程度に、「話せる」相手だった。
ひとまず、道なりに森を抜け、古代の遺跡跡に向かう。
そこからなら、
霊峰「ソーム・アル」に至る道筋が、よく見渡せるからな……。
さあ、案内しよう。
そう、この遺跡は今より、千年以上もの遙か昔……
竜と我らの祖先とが、友として暮らしていた時代のものだ。
すがりたければ、すがり続けるがいい。
……偽りの教えにな!
私は彼の竜との出会いを通じて、過去を視たのだからな……。
……さあ、先を急ぐぞ。
イシュガルドの民は「不浄の三塔」などと呼ぶが、
かの遺跡には、聖竜の眷属たる竜たちが棲んでいる。
霊峰「ソーム・アル」の麓に辿り着くためには、
彼らの協力を得て、山道を拓いてもらわねばならん。
……安心してくれ、塔に棲む竜を率いるのは私の友だ。
むしろ、「グナース族」の動きの方が心配なくらいだよ。
塔に続く道筋で、一度、辺りの様子を覗うとしよう。
グナース族の兵たちが展開しているようだ。
気高き竜とはいえ、火砲を持つグナース族に襲われれば、
傷を負うことは考えられる……。
致し方ない……。
もし、グナース族の兵たちが好戦的な構えを見せたら、
実力を以て、排除しながら進むとしよう。
友を護るためとはいえ、無益な戦いはしたくなかったのに……。
……ともかく、塔の中に入ろう。
竜たちとの対話は、どうか私に任せてほしい……。
くれぐれも手出しはするなよ、蒼の竜騎士エスティニアン。
…………行くぞ。
竜と人との融和のため、力を貸してほしいのです。
これは融和のための旅路だ!
私たち自身の言葉で、偉大なる竜に伝えましょう。
どうか、霊峰「ソーム・アル」に至る道を拓き、
私たちに希望を!
新たな戦いの芽を、摘んでおくためにも。
ドラゴン族を襲いはじめたのも、そのためか……。
私が力を使うのは、ただ竜と人との融和のためだ!
闇雲に槍をふるう貴様に言えたことか!
グナース族に関しては「マルスシャン」が詳しい。
一度、「テイルフェザー」に戻り、彼に話を聞こう。
魔法の使い手であるアルフィノの手助けがあれば、
さほど苦労せずに、手に入れることができるだろう。
実戦で磨いていけば、いい魔道士になるだろう。
コロニーに棲む多数派が「繋がりし者たち」……。
そして、神を呼び降ろしたのは、後者ということか……。
神降ろしが、星の命を蝕むと知ったうえでな。
必要悪であったと信じているし、罪を背負う覚悟もある。
だが、グナース族は、領地を広げんと神を降ろしたという。
彼らから罪を背負う覚悟が感じられないのは、
私が傲慢だからだろうか……。
私とて「超える力」の持ち主なのだ。
[player]、手を貸してくれるか。
いったい、どのような信仰を持っているというのか……。
何だか、頭が痛くなってくるな……。
話がわかりにくいのも、頷けるというものだ。
そもそも話す必要がないという文化なのだから……。
領地を侵して捕らえられれば、必ずや生け贄として、
神に差し出されることになるとな……。
[player]も、無茶は慣れたものだろう?
今でも覚えているぞ。
「シヴァ」召喚を止めようと乗り込んできた日のことを……。
……すまないが、私の無茶にも付き合ってくれ。
戦いとなれば、適度に暴れつつ、
頃合いを見計らって投降して、虜囚となるぞ。
過敏なほどに反応する。
……慎重に行くぞ。
よし、このまま内部に侵入し、適度に暴れるぞ。
後ほど、奥で合流するとしよう!
[player]は、このまま奥へ向かえ!
これで、連中の目を引きつけられたはずだ。
さあ、いよいよだ……。
グナース族に捕まれば、その後は出たとこ勝負になる。
覚悟が決まったら、声をかけてくれ。
よし、準備はいいな?
次に囲まれたら、投降するぞ。
お前たちの神の前に、引きずり出すがいい。
その神判を仰ぐ覚悟はできてる!
神降ろしをするとなれば、奴らも準備を整えているはず……。
であれば、私にも勝機はあるさ。
……後ろの谷底に川が流れていたな。
反響する川の音に紛れれば、外にでることができるかもしれん。
まだ、準備が整っていないのであれば、私が囮として残ろう。
グナース族に気付かれぬよう、戻ってこいよ。
あとは、グナース族の神の前に、引き出させるのを待つばかり。
我らに、グナースの領土を脅かすつもりはない。
ただ、何故、竜と戦うのか、
それを御神に問うため訪れたのだ。
我らは、竜と人との争いを止めようとする者。
ゆえに、グナースと竜との戦いも望んでいない。
グナースは、これまで静かに暮らしてきたはずだ。
なぜ今になって、御神を呼びだしてまで、戦うのか!?
武神「ラーヴァナ」よ、我らと勝負せよ!
そして、我らが勝利したならば、
ドラヴァニアの竜に対する狼藉を止めよ!
ならば、私からまいる!
シヴァ
武神「ラーヴァナ」よ。
シヴァ
クリスタルが足りなかったか……。
無様なところを……見せたな……すまない……。
……後は頼んだ…………。
私よりも数段上の実力のようだ。
……これが、希望を託された者との差か。
武神「ラーヴァナ」は、義をとおす蛮神に思えた。
これでしばらくは、無闇に戦を仕掛けるようなことはあるまい。
さぁ、ヴィゾーヴニルの元に戻ろう。
だが、さすがは光の戦士……見事だったぞ。
ともかく、ヴィゾーヴニルとの約束は果たせた。
アルフィノたちと合流しよう。
それもこれも、策に溺れた私を救ってくれた、
[player]のお陰だ……感謝しているぞ。
年若い者を、あまり虐めてやるものではない……。
アルフィノは、根が真面目なのだ。
年若い者を、あまり虐めてやるものではない……。
アルフィノは、根が真面目なのだ。
そうだろう?
武神を退け勝利を得たのは、あなたなのだから。
こちらの[player]の手により、
グナース族が奉ずる武神「ラーヴァナ」は倒されたわ。
ドラゴン族に対する戦いの是非を賭けて勝負し、
[player]は、勝利を手にした。
かの神は、私たちとの約束は守るでしょう。
「モーン大岩窟」は、この塔の二階から通じている。
先を急ぐとしよう。
ヴィゾーヴニルの忠告どおり、この先は竜たちの支配域……。
特に雌竜「ティオマン」は、強大な力を持つというわ。
容易く留められるものではない……。
皇都に彼らを招き入れた時、それを知ったのだ……。
どうしたらいいの、シヴァ……。
そして、聖竜「フレースヴェルグ」が棲まう空……。
私たちは、ついに来たのね。
蒼の竜騎士よ、目に焼き付けておくがいい。
感動せずにいられようか?
初めて見たが、案外、可愛いものだな……。
な、なんだ、意外そうな顔をして!
私とて可愛いものを、可愛いと思うことくらいあるぞ。
「氷の巫女」と呼ばれても、心まで凍り付いてはいないのだ。
この辺りにいる竜の多くが邪竜の眷属のようだが、
できるかぎりのことはしてみよう……アルフィノはどうするのだ?
こちらに、さしたる収穫はない状態だ。
聖竜の行方は、未だわからずでな……。
邪竜の怒気にあてられているのか、
多くの竜たちが、会話すらままならぬほど、猛っていてな……。
対話に応じる竜もいるにはいたが、
聖竜のこととなると、一様に口をつぐんでしまうのだ。
な、なに、モグリン様が呼んでいるだと?
わ、わかった……すぐに向かおう!
これでフレースヴェルグに願いを伝えることができる!
かの聖竜こそが、シヴァを愛し、
人との融和を願った最初の竜なのだから。
いよいよ再会できるのですね。
いよいよ再会できるのね。
いよいよ再会できるのね。
再会を前に、胸が高まっているのがわかる。
シヴァの心が、そうさせるのだろうか……。
きっとあれは、聖女シヴァの姿を模したものね。
もどかしいものだな。
きっとあれは、聖女シヴァの姿を模したものね。
無知ゆえに、戦いの根源が何であったのかさえ知らず、
教えられるまま、命じられるまま、戦争に身を投じさえする。
私は、聖竜と出会い真実を知った。
そして、無知を利用し、戦争を煽る教皇を倒そうと決意した。
自分が罪を犯すことで、融和をもたらせるならと……。
聖女「シヴァ」よ、支えていてください……。
聖女「シヴァ」よ、支えていてください……。
かつて私は、ドラヴァニアの地で貴方に出会い、
すべてを知った者です。
真実を……。
そして、貴方が愛した「シヴァ」の心を!
この身に宿すことで知ったのです!
彼女の穢れなき心を!
彼女の……シヴァの依代となったのです!
「眼」を還して、謝意を伝えなくては……!
すべては……幻想だったというのか……。
すべては、幻想だったというのか……。
それでも「竜詩戦争」を続けるつもりか……!
私のしてきたことは……。
私は夢を見ていたのか……すべては、氷結の幻想だと……。
竜たちの悲痛な嘆き声が聞こえたわ……。
邪竜「ニーズヘッグ」を殺したうえ、
これ以上、何の望みがあるというの!?
悲しみに暮れる聖竜の暮らしを、もう荒立てないで!
ニーズヘッグの残された「眼」が、貴方のものだったなんて……。
貴方にとっての贖罪だったというのですか!?
……終わることのなき戦いが、始まると知りながら!
復讐の輪廻の結末だというの……。
ニーズヘッグを殺すことで、戦いに終止符を打った……。
私もまた、大義のためと言いながら、
多くの罪なき人々に、犠牲を強いた罪人なのだから……。
私は、そんな指示は出していないぞ!
私も、同行させてほしい!
もう無益な殺し合いは御免だ……。
皇都に侵攻した同志たちは、私が止めてみせる!
これ以上、血を流す必要はなくなった!!
ドラヴァニアの地で、ニーズヘッグは討たれた!
ここにいる冒険者と、蒼の竜騎士エスティニアンによって、
竜と人の争いは終わろうとしている!
どうか皆、落ち着いて聴いてほしい……。
この国の歴史そのものが作られたものであり、
その結果、竜と人は憎しみの連鎖を続けてきた。
私は、真実を明らかにするために「異端」と呼ばれ、
皆を率いてここまで戦ってきた。
しかし、竜たちを率いていたニーズヘッグは、
ドラヴァニアの雲海に散った!
真実とは何かは、これから明らかにしていけばいい……
だから今は、互いの刃を収めてほしい!
もしも勝者がいるとすれば、それは平和を勝ち得た者のみ!
どうか、私を信じて退いてくれ!!
……今こそ使う時か。
これまで、自分の主我のために、多くの犠牲を出してきた。
結局私は、凍えた身体を温めるための、仲間が欲しかったのだ……
そのために、大義を創った。
許して、シヴァ。
……そして、フレースヴェルグ。
それでも私は、どうしても見てみたい……。
少女が雪原のただ中で、凍えずとも済む時代をッ!
いえ 願いによって造られた 私自身の神よ!
今こそ我が身に降りて
真の融和のために 最期の静寂を!
私を導いてくれて ありがとう