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どうして、ここに……!
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なっ……!
俺の声が、聞こえてるのか!?
嘘だろ……こんなことって……。
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確かに、そっちの世界ではそう名乗っていたな。
原初世界で使っていた偽名とも、発音はほぼ同じだ。
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お前にとっては、記憶するほどの相手じゃなかったらしいな。
第一世界の光の戦士だった者……
そして、闇の戦士としてお前に倒された男だ。
この世界に「光の氾濫」が起きる原因を作ってしまった。
そう思って、アシエンに導かれて原初世界に渡り、
世界統合を後押ししようとしたんだ。
そして、お前たちに敗れた。
だが、光の巫女……ミンフィリアとの出会いがあって、
俺たちの魂は、こちらの世界に帰還したんだ。
ちょうどノルヴラントを飲み込まんとしたときだ。
ミンフィリアと、仲間たちの魂は、
それを防ぐために力を使い……消えたよ。
俺だけを遺してな……。
「光の氾濫」からどれだけ時が経った?
そうか……そんなにも……。
この姿は誰にも見えず、
どれだけ叫ぼうと、声が届くことはない。
たださまようことしかできない、亡霊なんだよ。
いつしか自分の形も見失って、意識も曖昧になっていた。
それが、さっき急に、目が冴えはじめたんだ。
何かに引かれる感覚があって、気が付けば、ここにいた。
お前は、なぜ俺が見える?
そもそも、どうしてここにいるんだ……?
馬鹿だな……。
世界は決して救われないし、
世界を救おうとする奴は、もっと救われない。
さまよっているうちに、戦っていた理由さえ忘れたよ……。
お前にだけ俺が見えるのも、
理屈はわからないが……意味のあることかもしれない。
俺は、俺が遺された意味を知りたい……
今度こそ、旅を終わりにしたいんだ。
……この世界はもう、英雄の居場所じゃないんだ。
皮肉なもんだな。
皮肉なもんだな。
<チェック漏れ>
►自分の部屋
うん……?
だから話しやすいんだろ?
やっぱり、ほかの奴には俺が見えていないらしい。
そんな状況で話をしたら、
周りから怪しく思われるのはそっちだぞ。
確か、原初世界で俺と戦ったときにもいたな。
あいつらとは、もう組んで長いのか?
誰かを救おうと突き進むほど、
自分にとって大事な何かを失うものだ。
……お前だって、散々そういう経験をしただろう?
今回は、何を救って、何を失うやらだ。
仲間を失うのも……あいつらが最期に遺した想いさえ、
悪と踏みにじられるのも。
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お前、水の中でも平気なのか……。
フーア族に、してやられたな。
お前じゃなかったら、もれなく仲間にされてただろうよ。
もっとも、ほかの奴は、ちゃんと地上に返されたらしい。
今頃、お前のことを探してるんじゃないか?
フッブートって国の王都だったんだ。
何かとしきたりにうるさくて、頑固な奴も多かった……。
でも、打ち解けてみれば、あれほど居心地いい街もなかったさ。
山間だから、冬は恐ろしく冷え込んでな。
名物のラム肉のシチューを食いながら、いろんな話を聞いたよ。
街の灯は絶えることなく、赤々と燃え続けていた……。
その時代を知るものは、人も、場所も、残っちゃいない。
本当に、俺たちは……
何のために戦ったんだろうな……。
災厄から、誰かの未来を……護りたかった、何もかもを……。
あの鏡みたいな魔器で、動きはおおむね把握してるんだろ。
水晶公は、悪い奴じゃないと思う。
だが、いかんせん謎が多い。
少なくとも、俺が生きていた時代にはいなかった人間だが……。
この街の成り立ちや、公の素性について、
持ってる知識はお前と変わりないんだ。
エメトセルクの方か。
生きた証を遺すには、世界を統合するしかないと、
白法衣のアシエンに持ち掛けられた。
もとはと言えば、氾濫のきっかけ自体が、
アシエンたちの手引きで作られたものだったのさ。
アシエンは、到底信用ならない。
だが、エメトセルクの主張……
何も知らずに戦い続けるべきじゃないってのは、
もっともだとも思う。
ここにこうしているんだからな……。
それは、まあ……そうかもしれないが……。
一緒に旅してたころは、もう少し小さかったんだ。
それに、まさか先祖返りだったなんて……。
メダルも、あんな大事に……。
どんななんだよ……名前は?
神話の時代と、ロンカ時代と……あとは……。
この洞窟には、壁画の研究をしてるって奴が入り浸っててな。
いくつか仕事を依頼されたんだ。
獣の討伐とか、食料の調達とか……
変わった奴だったけど、そのうちに仲良くなった。
そいつ曰く、名も知れぬ古い時代に、誰かが最初の絵を描いた。
自分たちを導く、英雄の絵だ。
長い時が経って、ロンカの時代に、誰かがそれを見つけた。
そして隣に、自分たちの英雄の絵を描いた。
世界に名だたる英雄になったときには、
その雄姿を、隣に描かなくてはね!」
雑用を頼みながら言うんだから、ひどい冗談だ。
あいつ、本当に描いたんだな……。
いっそ、削り取ったのも本人だったらいい。
その方が、まだ……。
見たところ普通そうだが……。
この状態じゃ、助けを呼んでやることすらできないんだぞ。
状況を知ってくれてる自分の仲間を、信じて、護る。
今はそれしかないんじゃないか……?
ハイデリンが創り出された存在だって話が、もし本当なら……
ハイデリンのテンパードみたいなものなのか……?
奴の話そのものが、
お前たちを揺さぶるための虚言だった可能性もある。
楽しかった思い出も、削り取りたくなるくらい、
憎くなる日がくるかもしれない。
だから、こんな俺はもう……
誰かを肯定も否定もすべきじゃないと思っていたが……。
……よかったなって、俺も思ったよ。
戦ったあとに贈られる、誰かの想いが好きだった。
止まれ……止まってくれ……ッ!
俺は、何のために……!
まあ、居残り組に、賞金を持ち帰ってみせると約束した以上、
俺たちも、みすみす譲ってやることはできないがな。
あくまで目標は、鉱山に住み着いた魔物だけ……。
地脈から魔力を吸い上げているソイツを倒せれば万事解決だろ?
地震を止めてやらないと…………
それに、ひとりで魔物退治だなんて、よっぽど自信があるんだな。
もしくは、賞金を独り占めしたい理由でも?
なら、ついでにひとつ提案したいんだが……
ここは共闘といかないか?
さっきお前が言ったとおり、この鉱山は崩壊が迫っている。
退路の断たれた狭い坑道で手柄を争ったって、
お互いに、なにも良いことはないだろう?
それまで、よろしく頼むぜ、ナイルベルト!
ナイルベルト、敵は俺たちが引き付ける!
どうやら、一緒に閉じ込められたようだな。
まあ、この崩落で使い物にならなかった可能性もあるが。
行くぜ、ラミット、シルヴァ! それに……ナイルベルト!
これ以上の長期戦はまずい……一気に畳み掛けるぞ!
あとは、脱出路を探して……。
地脈から魔力を吸い上げていた「ボヴァイン」を倒せば、
その魔力が還元されて、地震も収まるはずじゃ……。
集落の人たちを救うための決断に、俺たちも報いたい。
良ければ……友を救う方法を探すのに協力させてくれないか?
気がついたら、色んな事件や厄介事に首を突っ込んでいることも、
多々あるんだが……。
そうした事件を解決していく中で、
奇妙な出来事や、不思議な存在に出会うこともあってね。
お前が救いたがっている相手に有効な手段も見つかるかもしれない。
アム・アレーンは、どうだった?
ついにわからず仕舞いになっちまったってわけか……。
いつかまた俺が必要になるのだと言っていた。
誰を救うこともできない、何にもなれない、亡霊だ……!
俺は自分の形すら見失ってただろう?
打ちひしがれてた。
いろいろあったが、一番効いたのは……孤独だ。
俺に言わせれば、そいつは時よりも人を追い詰める。
エメトセルクたちアシエンも、
あるいは蝕まれてるのかもしれない……。
永遠をもらえたって、わりにあうものか。
みんな、魔物に変異した連中から片付けるぞ!
中央に魔物を引きつけてくれ!
ブランデンはナイルベルトを援護してくれ!
ブランデン、あの魔物の詠唱を止めるんだ!
お前たち、手を貸してくれ!
ここで攻勢をかけるぞ!
魔物を中央に引きつけるぞ!
ブランデン、ラミットを死守するぞ!
今さら命乞いが許されると思うなよ!!
エメトセルクはすぐに消え失せた。
それで、リーンがどうにかお前に応急処置を……
光の暴走を止めようと試みたんだ。
原因を取り除けたわけじゃない。
お前の状態は、変わっちゃいないんだ。
ラケティカ大森林や、アム・アレーン、イル・メグ……
ノルヴラント全土が再び光に覆われている。
すべての大罪喰いの光を継いだ者……
お前がいるからだ。
あの場にいた仲間たちだけだ。
あいつらはお前をつれて下山したあと、
待っていた人々に、光が戻った原因は不明だと語った。
混乱をなだめながら、お前を救う方法を探してるらしい。
ここであれこれ考えてるよりは、落ち着くかもしれない。
みんなまだ、戦う意志が折れてない。
なにせ、この状況を引き起こしてるのは、お前自身だ。
あんな気のいい連中は、真実を知れば悩み、苦しむだろう。
知らないままで済むのなら、その方がいいか……。
だが、それでもお前は誰かを責めず、
こうして独りで立っている……。
今回ばかりは、どこを探しても救いなんてないかもしれない。
お前はまだ、負けていない……違うか?
不思議と凪いだ気持ちで、空を眺めてたことがある。
原初世界に向かうために、命を断ったときだ。
潰えかけた願いを、「光の巫女」が拾ってくれたから、
俺たちの世界は完全消滅を逃れられた。
こんな風に残るより、統合された方が幸せだったのか。
ずっと、わからなかったんだ。
ああ、よかったんだ……ってな。
戦う役目を、最期まで自分たちだけで抱え込んだ。
……それが、みんなのためだと思ってた。
だから、あんな……
人が一丸になって道を拓く様だけは、見ることがなかったんだ。
ただ胸が詰まって、言葉なんて出やしないんだ。
それが手を取り合って、天にまで這い上がろうとしてる。
この世界を、こんな未来に繋いだことを……
俺は、やっと誇れる。
いいから、ぶつけてみろ。
前に部屋で起きたことは、偶然じゃなかったんだ。
何の因果か、お前にだけは干渉できるらしい。
だが……俺は「光の氾濫」を起こした男だ。
どんな理由があったとしても、それを否定することはできない。
だから、何かをすれば、また間違うんじゃないかと……
自分の選択が信じられなくて、踏み出すことから逃げていた。
お前たちが証明してくれたから……
今なら、誓うことができる。
わずかでも、まだできることがあるはずだ。
お前が世界の敵になりそうだったら止めてやるし、
お前が進もうとするなら、背中くらいは押してやる。
理性すらない化け物になり果ててしまうかもしれない。
何をしたって、お前自身は、もう助からないかもしれない。
エメトセルクの言っていた、
黒き海「テンペスト」には心当たりがある。
嵐多きあの海に、奴の根城があるはずだ。
俺たちの「光のクリスタル」じゃないか……?
四六時中お前について回ってるわけじゃない。
あいつらときたら、本当に、最期まで……。
俺たちの世界が、どれほどしぶとくて、希望にあふれてたかも。
いつかあいつらと、また巡り会うことができたとしたら……
話の上手くない俺だが、どうにか伝えてやりたいと思うよ。
お前を必ず、この旅の終わりまでつれていく。
あと1歩進む力があったら、この世界を……
すべての世界を、救えるか?